オランダ点描(17)自転車

街角の街灯の支柱や橋の手摺などに太い鎖のついた頑丈な錠前で結び付けられている自転車。これはオランダでよく目にする光景です。その自転車といえば骨太で作りだけは非常にしっかりしているが、よく見るとスタンドもブレーキらしきものも付いてない至って簡単なもの。自転車としての最低限必要な部品だけという代物です。スタンドというものがなく自立できないからこそ、こうやって何かにもたせ掛けたりして止めざるを得ないのです。

ブレーキもなくていいの?どうやって止まるの?が次の質問でしょう。それは、子供の三輪車と同様ペダルの回転を足を踏ん張って止めるか、直接足を地面に踏ん張って力づくで止めることになるのです。いかにも原始的な方法です。最近は、もう少しシャレた(我々には当たり前ですが)ハンドルのところに手で操作するブレーキが付いた自転車も見かけるようになりました。写真は、アムステルダム中心部、左手奥に見える建物が、オランダの最大手デパートBIJENKORF( バイエンコルフ)。

そんな自転車ですが、オランダではとても優遇されています。その証拠に、歩行者に歩行者専用の歩道が用意されているように自転車にも専用レーンが完備されていて、車、歩行者から分離されています。そのレーンは当然自転車専用ですが、それ以外でも自転車は車よりも優先で、いかに自転車の方に非があって事故になろうとも、相手が車であれば、その車が全責任を負わされることになります。法律で自転車が保護される(過保護あるいは超過保護)ことになっています。

したがって、自転車レーンと車道が重なっている交差点のようなところでも、自転車は結構無頓着に突っ込んでくるのが普通です。自転車のマナーが悪いとか、我が物顔だとかいう以前に自転車に乗った人は保証されている優先権をそのまま行使しようとしているだけなのです。また、歩行者がうっかり自転車専用レーンを歩いたり立ち止まったりしていると、自転車の運転者からものすごい剣幕で怒鳴られることもしばしば。

御存知の通りオランダは国中が真っ平なため、まさに自転車大国・自転車天国です。しかし、日本で育った私は自転車に優先権があろうがとても車と勝負する勇気はありません。まだ、天国には行きたくないですからね。

また、自転車大国ではいろいろな変わり種の自転車をよく見かけますので、それらに出会うのも楽しみです。仰向けに寝そべってペダルを漕ぐものとか、親子の自転車が連結したものとか、それはそれはいろいろあります。正直言って、よくこんなものを考えるなあ・・・。日本はオランダのように融通が利かない(?)から、ブレーキがなかったり、あまり妙な形のものは確か公道を走れなかったですよね?

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