英国探訪8 エリザベス1世について(その3)

エリザベス1世について映画に沿ってお話をしてきましたが、今回がその最後になります。

大団円に向けて映画の展開がどうなったかを書いていきます。

この映画は史実にはないエリザベスの恋愛をひとつのモチーフとしています。彼女はある男性と恋に落ちますが、それにおぼれたら国が滅びてしまいかねないことを覚るのでした。

即位したばかりのエリザベス1世は、政治も知らず世智もない乙女だったが、やがて女王としてたくましく成長していく過程が描かれていきます。

ヴァチカンのローマ法王から、エリザベスの王権を否定し、彼女の暗殺を示唆する勅書が謀反を企むグループに送られました。

イングランドで彼女の追い落としを謀る中心人物の名はノーフォーク公爵。これに対抗して巻き返しを図るのがエリザベスの側近、ウォルシンガムです。この両派の策謀、暗殺の応酬が映画の見どころです。

エリザベスの恋人、ロバート卿が実はエリザベスを裏切っていたことが発覚します。なぜ謀反を働いたかを彼女に訊かれたとき、こう告白します。

「王女に愛されることはたやすいことではない。男の心を腐らせる。」

当然処刑を覚悟しての告白でした。しかし彼女は自分への戒めとして彼を生かしたままにしました。

映画の最後で彼女が髪を切らせ、真っ白に顔を塗って現れます。

そこには彼女の王権が確立したこと、そして彼女が生涯結婚することなく聖母になることを象徴する意図が込められていました。

 

(「エリザベス1世について」終わり)

風戸 俊城

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