笑説「ハイムのひろば」23～WordPress講座開催

私、西野敏彦がホームページ「ハイムのひろば」のリニューアルを任されて早や5年が経過した。読者は「ハイムのひろば」って何のことだかわからないであろうから、まずそれから説明せねばならない。「ハイムのひろば」とは、川崎市中野島にあるマンション・新多摩川ハイムの管理組合が所有するウェブサイト（ホームページ）のことである。約1年半の準備期間を経て2018年4月にリニューアル・オープンした。

ホームページ作成を始めたのは、まだ現役であった50歳を直前に控えた頃、たまたま旅行で訪れた英国のカントリーサイド・コッツウォルズに魅せられて、その感動を何かの形で残したい、他人に伝えたいと思ったことがきっかけだった。当時はパソコンが普及し始めて間もない頃で、マシーンそのものにも機械的な意味で興味があった私は、世界で初めて開発・販売されたラップトップ・コンピューター・東芝ダイナブックを予約して手に入れた。

画期的な技術の発展に驚きながらもしばらくは麻雀ゲームをするだけだった。暫くしてワープロや表計算ソフトに惹かれて行き、好奇心がむくむくと湧き上がっていった。そして、コンピュータに対する私の興味を決定的にしたのは、インターネット時代の幕開けだった。こんなに小さなマシーンから世界中を覗くことができるということに大きな興奮を覚えた。

手に入れたPCを使って初めて作った旅行記サイトが、運よく旅行関係の雑誌で紹介された。まだ応募者も多くなかったのであろうが、気をよくした西野は、次々とテーマを変えてホームページの創作に勤しんだ。コンテストに応募しては賞をもらうのが楽しくてしかたがなかった。商品の中に高価だったソフトPhotoshopが含まれており、それがますます興味に拍車をかけることになっていった。

以来20年あまり、ホームページの作り方に関する本は漁るように読んだ。それまでの人生には全くなかった新しい世界がそこにはあった。読めば読むほど新しい技術が次々と身についていく。部屋に本の置き場がなくって、多くは図書館に引き取ってもらうことになった。

タイピングは大学の頃にクラブ活動で身に着けていたので苦にならず、ホームページ作りに役に立った。ただ、所謂文学青年ではなかったし、文章を書くこと自体はそれほど好きでもなかったが、ホームページ作りのためにはたくさんの文章を書かざるを得なくなった。そんなとき友人のトラベルライターの文章が参考になった。

さて、西野が取り組んでいるホームページ「ハイムのひろば」の将来を思うと、これを技術的に維持管理する後継者がどうしても必要である。文章を書く才能がある人は大勢いるし、ボランティア精神旺盛な人も充分にいる。しかし、運営サイトに何か困りごとが起きた時には素早く修正し、大きなトラブルが起きた時にも比較的短時間で修復できる技能を持った人はなかなかいない。

自分のブログを持ち維持している人は大勢いるが、これらの多くは、何処かの会社が提供しているシステムを利用していることが多い。WordPressを利用して、一から作っている人は少ないのかもしれない。いや、詳しい人がいたとしても、ボランティアでハイムに関わってくれる人がいるかどうかが問題だ。

５年前、WordPressの使い方を覚えてもらうための講座を開いた。依頼されたサイト作りの要点は、単独ではなく複数の管理が管理運営できるものにするということであった。それまで利用されていたソフトはヒット商品「ホームページビルダー」で、多くの人に支持され利用されていた。私自身もその一人だったが、「ＷordＰress」に出会ってからはこれ一辺倒になっていった。Wordが使える人、メールを使える人なら誰でも簡単に使えるのがいいところだ。

WordPressの最も大きな特徴は、複数人で管理できることとWeb上で編集できるということであろう。この点で、託された仕事にぴったりのWordPressを知っていたことは幸運であった。当時この活動にボランティアとして参加してくれた人は10数名いた。週に一度２時間ほどの講習会であったが、みな熱心に受講してくれた。その中に、未経験のため自信がなさそうではあるが、時々遠慮がちに質問をする生徒が一人いた。それが、池田鈴子だった。

一時健康上の理由で、チームから離れていた西野が久しぶりに会った池田は、はっきりそれとわかる成長を示していた。少し助言はしたが、彼女はサーバーと契約し自分専用のサイトを作り上げていた。ここまでくればしめたもので、もう立派な中級者となっていた。ワードプレスのワの字も知らなかった人が、短期間でサイトを構築できるまでになっことに西野は感動を覚えた。この初期講座がきっかけでホームページ作りを楽しいと感じてもらえることができたことはとてもうれしく思っている。

～つづく～