シンゴ旅日記インド編(112)インドで両替の巻

インドで両替の巻 (2010年9月記)

日本に一時帰国する前日に円を買わねばと思いつきました。それで私は総務担当に『銀行に開設したばかりの私の口座からルピーをおろして円を買いたい』と伝えました。

総務担当が『E-チケットとパスポートが手許にありますか?』と私に確認を求めました。インドで外貨を買うためには海外へ行くことを証明する必要があるのです。私のパスポート、Eチケットはともにカバンに入れてありましたのでそのことを総務担当に伝えました。

彼から『それでは、行きましょう』と言われ一緒に銀行へ行きました。私が口座を開設したのはインドで一番大きな民間銀行です。インド全土に何千店も支店があり、プネだけで50店もあるといいます。そのプネの第一支店に行きました。

ルピーをまずATMで下ろそうとしました。しかし私はインドの銀行のATMを使うのは初めてでした。銀行のATMは行内に置いてありませんでした。銀行から50mくらい離れた角を曲がったところにATMのコーナーがあるのです。

それで歩いて行って総務担当に使い方を教えてもらいました。まずカードを差し込んですぐに抜くのです。そうすると画面に何語にするかと表示されるのです。英語を押しました。すると当座預金か総合預金かと表示されました。その次からは日本と同じく残高確認か、預金か、引き出しかなどなどと画面に現れました。

私は無事にルピーをおろして銀行に戻り為替窓口に行きました。女性の担当者です。少し偉そうな態度なのです。彼女が現金での両替は手続きが面倒になるので口座からの引き落としの方が早いと言いました。

私はおろしたばかりの現金が手元にあるので現金での交換を主張しましたが、女性担当者は現金は銀行で預かり私の口座にあとで入金処理しておくので両替の金額は口座から振替えろとしつこく言いました。

私はそれに従うことにしました。すると彼女はルピーからどの通貨に換えるのか聞いてきました。『円です』と、私のそばにいた総務担当が私より先に答えました。女性担当者が円には直ぐには交換できないと言いました。

私は総務担当に向かって『じゃあ、まあ、いいか、じゃ米ドル。』と伝えました。女性担当者から3枚くらいの書類を渡されそれに記入して出せと言われました。その書類に記入する場所は事務所の隅っこのテーブルでした。総務担当は昔この銀行のこの支店に一時勤めていたことがあったのです。でも、彼の同期はすでに出世してこの支店に居ないようです。現在の窓口担当者は総務担当が知らない人ばかりとのことでした。なお、書類への記入は彼が全部してくれました。

15分位して窓口に戻ると女性担当者がそこにはいませんでした。小間使いのような男の人が寄ってきて『今、食事中だから待っていてくれ』と言いました。そんな馬鹿な!?すでに午後の2時を過ぎているのに!!

総務担当が少し憤慨したように『ここではだめです。外に出ましょう。Money  Changerに行きましょう』と言いました。私は彼に言いました。『貴方はこの銀行での両替の他に電話会社にも行って料金の支払いを済ませる必要があるのでしょう。それでは電話会社の方に先に行って支払いを済ませてからここに戻りましょう』で、二人で表に停めてある車に戻りました。

しかし車が走りだすと総務担当は携帯でどこかとやり取りをはじめました。そして運転手に命じて道路端に車を停めました。その近くは2月にテロ事件のあったGerman  Bakeryがあるところとわかりました。総務担当が私に『降りないで下さい』と電話しながら言いました。 私が何か見つけると車を降りて直ぐ写真撮ることを知っているのです。先ほども銀行の前で額にヒンズーの印(ティルカ)を付けた物乞いに10ルピーを渡して写真を撮ったりしたからです。

すると、総務担当が運転手に何か言うと車が動き出しました。総務担当は携帯をかけながら『GPO』という言葉を頻繁に発していました。GPO、GPOそうかGeneral Post Officeかと私は思いました。そのGPOの近くに来ましたが総務担当はまた電話をし続けていました。両替商の場所が分らないようです。郵便局の対面か、並びかと電話で聞いていました。そこで同じブロックを2回ぐるぐると廻り小さな商店が4軒ほど連なるところの駐車場に入って行きました。

その中の一軒の入り口に『Travel Center』と書いた看板があり、その下に『Foreign Money Transfer』と書いてありました。まさか地下銀行じゃないだろうなと思いましたが、私が両替する金額はたかが知れていると思い総務担当に続いてお店の中に入って行きました。

先客が一人ありカウンターの中の人が対応していました。先客は私たちが入ってからすぐにお店をでていき、我々の番となりました。総務担当が両替をしたいと説明をしているようですが、なんか駄目みたいです。カウンターの人は二階にいる人を呼びつけていろいろ説明していました。結局両替をするにはEチケットとパスポートのほかに居住証明書が要るとのことなのです。 私はそれを用意していませんでした。総務担当はさっき行って来た銀行ではチケットとパスポートで良いと言われたと強く抗議しました。私は彼にもう今日は両替をあきらめてもいいよ。両替は明日空港でするから問題ないと伝えましたが、彼は腹の虫が治まらないようです。ポイと私に Eチケットとパスポートを投げてよこしました。

そして車に戻り総務担当と一緒に携帯電話会社に寄り支払いを済まし事務所に戻りました。結局、両替は2時間かけて出来なかったのです。

その夜、日本に着ていくカッターシャツにアイロン掛けていたら携帯電話が鳴りました。番号を見るとインドの国番号で、女の人の声で『ハロー、ハロー』と言いました。私は『Who is calling?』と訊きましたが、返事がありませんでした。いつもの間違い電話かなと思い携帯を切りました。すると直ぐにまた電話がかかってきて『銀行です、定期預金に興味ありますか』と言ってきました。相手は私の預金している銀行からでした。きっと私が口座を開いたのを知ってかけてきたのでしょう。それで私は『今のところ預金に興味はありません、いま夜の7時過ぎです。ビジネス時間は過ぎました。家でリラックスしています。さようなら』といって一方的に電話切りました。

その銀行は両替するのに待たせておいて定期預金の勧誘を夜中に電話だけでするとは何事でしょうね。両替は翌日空港でしましたが、これも両替できる限度の金額がありました。

まだまだ良くわからない国です、インドは。

丹羽慎吾

 

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