詩~「視線」

視線

 
雲の岸辺で
見開かれている目
その強い視線
白い鋭い光
ぐっとこちらを射ると
光は瞳の外に
花びらのように弾け散り
目の輪郭は見えなくなる

見えない
捉えられない

こちらを射る一瞬
白く燃える光

遥かな父祖たちの
眼差しのように
遠く隔たりながら
真近に注がれていると
信じることのできる視線

謎を解けないまま
これほどに憧れ
見つめ返し
まっすぐに見つめ返し
隠すところのないわたしの熱が
まっすぐに
あの瞳に届くことはない

荻悦子(おぎ・えつこ)
1948年、新宮市熊野川町生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。作品集に『時の娘』(七月堂/1983年)、『前夜祭』(林道舎/1986年)、『迷彩』(花神社/1990年)、『流体』(思潮社/1997年)、『影と水音』(思潮社/2012年)、横浜詩人会賞選考委員(2012年、16年)、現在、日本現代詩人会、日本詩人クラブ、横浜詩人会会員。三田文学会会員。神奈川県在住。

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