シンゴのきになる話60 大竹囲碁名人の言葉の巻(その1)

私はシンガポールにも駐在しておりました。

そしてシンガポール駐在時は私は日本人会の囲碁部に所属していました。

登録者数約30人、週一回の定例会には10人くらいが集まる会でした。

シンガポール囲碁協会や韓国の囲碁グループとよく友好囲碁大会を行っったものでございます。

その当時は日本の囲碁棋戦7番勝負は第一局を海外で行うことが流行りました。

ある棋戦の第一局がシンガポールで開催されることになり、日本人会囲碁部のメンバーがプロ棋士の対局前日の夕食会に招待されました。

さすがに対局者二名はその会食に参加されませんでしたが、あの伝説の『呉清源』さんとその奥様、大竹英雄名人、テレビでよく見ていた若手の棋譜読上げや記録係りの棋士たちが同席されました。

大竹名人はサービス精神旺盛で私たちのテーブルに来てくれて気さくに話してくれました。

大竹さんが『どうですか、シンガポールの生活は?』とみなに質問されました。

私よりも高段位の囲碁部長を差し置いて私が答えました。

『季節がありません、乾季と雨季だけです。』

そのとき、大竹名人は立ったまま私をじっと見つめてこう言われました。

『そうですか。でも、毎日よーく見てみなさい。何かが違うはずです。同じ毎日というものはありません。囲碁と一緒です。一手一手で局面が違ってくるはずです。』

さすが名人でした、おっしゃることが違いました。

その時の言葉だけがずーっと頭の中に残っていました。

インドに赴任して来て3ヶ月が経ちました。

そしてその言葉を確信したのでした。

 

大竹囲碁名人の言葉の巻(その2)につづく

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