追憶のオランダ(66)住居設営奮闘記

赴任直後はしばらくホテル住まいが続いたが、そろそろ住む家を探さなくてはと不動産屋を何軒かまわり、あちこち物件を紹介してもらった。治安問題・自身の通勤の便、さらには子供の学校への通学の便などいろいろな条件があり、適当な物件に出会うまで仕事の合間合間でのことなので、随分時間を喰ってしまった。そして決まった家が、これも偶然にも同僚が住む家の真ん前、そして隣は前々任者が住んでいたというオンモールドという地区のローハウス(日本流で言えば、棟割り長屋)なのだ。また、近所には何人かの日本人も住んでおり、おそらく子供の通学ルート、つまりスクールバスの路線に近かったことからそうなったのだった。下の写真にみえるKruipbremという通りである。

ともかく、家は取りあえず決まったが、空っぽの殺風景な部屋を住める状態にするのが如何に大変かを味わうことになった。やはり、そこは日本と大いに事情が違う。コンクリートむき出しの床にカーペットを貼り、古い壁紙を剥がし新しく貼り直す。そして照明器具をとりつける。それと並行して電気・ガス・水道、それに電話の契約もせねばならない。さらに、家具類・電化製品も揃えなければ・・・。やることはいっぱいある。しかし、このままでは家の中が丸見えなので、カーテンだけは早めに用意せねば。オランダ人なら全部自分で楽しみながらDIY でやるようだが、こちらは単身赴任してきたばかり、道具もない外国人が全部一人でやるのは無理がある。ともかく仕事の合間に、材料屋・家具屋など関係先を回り注文もして回った。
実際にやってみて後でわかったことだが、問題は壁紙と照明器具だった。
壁紙は業者に貼ることを頼んだが、業者が見て言うには「古い物が重ねて貼ってあるようなので、全部剥がしておいてくれ。」と。ここで、後先考えずOK してしまい、大変な目に合うことになった。剥がすのは最初そんなに難しいことでもないと思ったが、それは手が届く壁の半分から下くらいまで。天井までは随分高いことに今さらながらに気付いた。そうだ脚立もないのだ。たまたま、脚立は隣の家で借りることができたが、壁というのは意外と広い。剥がした壁紙は確かに2枚重ねている部分が多く、剥がしたものは意外と嵩張って捨てるにも一度には捨てられない。悪戦苦闘して一週間近くかけて2階分を剥がし終わったところでいささかうんざりして、屋根裏部屋の壁にはとうとう手を付けなかった。この間も、カーテンはない。友人から簡易ベッドを借りて、裏庭に面した2階の部屋で寝起きすることにした。数日して、カーペット・壁紙・カーテンがついた。あとは、ちゃんとした照明器具と電化製品・家具類を揃えないと・・・。 (続く)

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