蔓の午後

荻 悦子
荻悦子詩集「樫の火」より~「蔓の午後」

蔓の午後 豌豆の花が咲いただろうか 五月になれば きっと思い浮かぶ小さな花 赤紫の花びらが 開ききるのを拒むように向き合い 円形の葉は花より少し大きくすっかり開き 蔓の先は糸の細さでふるふる伸びる 何にでも取りつき螺旋状 […]

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