ここまで少々堅い話が続きましたので、このあたりで少しやわらかい話をしましょう。

当時、インドネシアのジャカルタ支店の食料部に評判の美人がいました。歳の頃なら20代前半、身長も高くスラっとした姿はミスコンテストに出てもいいようなそれはそれは美しい人でした。

ある日のこと、彼女が休暇でシンガポールを訪れることになり、事前に彼女の上司からよろしく頼むとの連絡が来ていました。私自身彼女には、以前ジャカルタに出張したときに会っており顔見知りだったので喜んで引き受けました。

写真は、当時私の部下の一人の中華系女性と一緒に夕食をとった時のもの。その後、ちょっと飲めるクラブのようなところに案内しました。フロアでは、大勢の人がダンスをして楽しんでいました。どうですか、踊りましょうかと声をかけると、素直についてきたのですが、手を組み腰に手をまわしてダンスの姿勢になったとき、彼女は細かく震えていました。聞くと、男性とダンスなどしたことがないといいます。

当時はバブル絶頂期で、日本の若い女性たちは六本木あたりのディスコに繰り出して、ワンレン・ボディコン・ミニスカで連日踊り狂っていた時代です。そんな彼女たちと比べて何と素朴で純粋なことか。話題の超美人とダンスをしてもらうという光栄に預かり喜びも一入と言ったところでしたが、同時に、純真な彼女の心に触れたことにとても感激したのを覚えています。

小説風に表現するなら、「少し浅黒い肌はしっとりと輝き、黒い大きな瞳は男心を魅惑の世界へ誘う」といった感じでしょうか。支店長以下支店の他の男性社員からも羨望の目で見られました。今どうしているのかわかりませんが、若かりし日の思い出のひとつです。

(蓬城 新)

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