はい、やって来ましたのが題経寺の入り口の二天門でございます。

『二天門』の二天とは四天王のうちの増長天、広目天です。
この門は明治時代に作られて新しいんでございますが、その中に安置されております木像は平安時代の作と言われているんであります。なんでもお寺が出来たときに大阪の方から頂いたものらしいんですよ。
四天王って言いますとね、これまた御前様の受け売りなんですがね、人が死んでから閻魔様の裁きを受けて行くあの世に須弥山ってい言う高い山がありまして、そこに帝釈天が居て、四天王はその部下で東西南北を守る神さまだそうであります。

増長天が南方、広目天が西方、持国天が東方そして多聞天が北方を守っておられるそうです
さて、四天王と言えば数字の四。四角四面は豆腐屋のむすめ、色は白いが水臭い、四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れる御茶ノ水、粋なねえちゃん立ちションベンてなもんですね。
ちょっと汚かったかな。ねえ。おばさん。そんなに笑わないでおくんなさいな。
この二天門を潜りって境内に入りますと正面に見えますのが『帝釈堂』でございます。
手前を拝殿、奥を内殿と申します。内殿には先ほどご説明いたしやした板本尊の帝釈天をまん中にして四天王の残りの持国天と多聞天が両脇に祀られているのでありあます。
北方を守る多聞天はまた毘沙門天とも呼ばれるのであります。その毘沙門天は七福神の神様でもあります。そして、この柴又には柴又七福神と言うものがありまして、題経寺はその柴又七福神の毘沙門天を受け持っておるんであります。

また毘沙門天と言えば古くは源義経、楠正成、上杉謙信たちも篤く敬っていたことがよ~く知られているのでございますよ。

なお、この帝釈堂の内殿の外側には彫刻が施されておりまして、彫刻キャサリン、いやギャザリン、いや違う、お兄さん、お役者さんが貰うお給金を英語で何て言ったかい?ギャラ?そうそう、彫刻ギャラリーと呼ばれているのであります。最近は直ぐに言葉が出てこない私であります。
はい、そして正面の手前右にありますのが『釈迦堂』でございます。ここには釈迦如来そしてこのお寺を開いた日栄、そして中興の祖の日敬の木像が安置されております。

そして右手奥が『祖師堂』でございます。ここに本尊の大曼荼羅が祀られているのであります。
この題経寺にはこれらのお堂の他に関東一と言われる総ヒノキの大鐘楼、大客殿があります。また、裏庭には昭和に設計された庭園がございます。今日はそれらをごゆっくりご覧頂くことになっております。
(境内の見学を終えて)

さて、これをもちまして題経寺の見学が終わりましたんで外に出ることといたしましょうや。
柴又帝釈天が沢山の人で賑わう縁日は庚申(こうしん)の日でございます。
この日には板本尊がご開帳となるのでございます。

なぜ縁日が庚申の日かってぇと言いますと、帝釈天の板本尊が見つかったのが庚申の日だったとされているからなんです。
えっ、庚申の日ってのは何かってですか、庚申の日と申しますのは十干と十二支の組み合わせで出来る『かのえ・さる』の日でございます。60日に一回やってくるのでございます。

昔から庚申信仰と言うものがあるのでございます。人間の体の頭と腹と足には三尸(さんし)と言う虫がおりまして、『かのえ・さる』の日の夜になりますとその虫が人間の体内から抜け出し帝釈天にその人の罪科を報告に行くといわれているのであります。その虫の報告によりその人の寿命が決まるため、身に覚えのある人はその虫が帝釈天に報告に行かないよう寝ないで夜明けを待つ必要があったのであります。しかし、寝ないで待つのは大変でござんしょ、そんでもって要は仲間で飲み会をして夜を明かしたのでございますね。この寄り合いを『庚申講』、『庚申待ち』と申しまして、平安の昔から一種の宴会となっていたのでございます。この庚申信仰は十二支のサルが関係しますのでサルが神の使いとする帝釈天、日吉(ひえ)神社、あの~、この日吉神社と申しますと比叡山は天台宗の延暦寺の守護神社であります。ええ。

それに日本神話でおなじみのアマテラスさんの孫のニニギノミコトさんが天上から地上に降りる時に道案内をしたと言うサルタヒコノミコトと結び付けられ道の神、道祖神にもなったのであります。それでもって。庚申塔や庚申塚で見ることの出来る『見ざる、言わざる、聞かざる』の三猿は巳をつつしみ、悪いことを見ない、言わない、聞かないという意味が込められているのであります。

えっ、寅さんはいろんなことをご存知ですねってですか。おねぇちゃん、良いこときくねぇ。
そりゃそうですよ。私の職業は書籍の出版というかセールスであります。扱う書籍の内容を知っておかないと商売になりません。何を扱っているのかってですか?そりゃ、その、あのですね、そうそう法律とか統計とか歴史、それに加えて英語、催眠術、灸点法、夢判断、メンタル・テスト、諸病看護法、しみぬき法、心中物、事件物などありとあらゆるものを扱っているんであります。こうなりゃ、もう半分やけですよ。やけのやんぱち、日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが、わたしゃ入れ歯で歯がたたないよってね。

寅さん 帝釈天案内の巻(3)に続く

丹羽慎吾

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