フランスあれこれ(2)三人の子持ちの母

20年ほど前の話です。私は商社マン、フランス駐在当時の話です。数年がかりの大型商談がまとまりフランス企業から一組5-6人の研修チームが数組日本に行くことが決まりました。滞在費用も含めて一切の旅程を日本側で決めることで合意、航空券だけパリ事務所で手配することになりました。契約の相手がフランス公社の一つと言うことを忖度してエアーフランスにお願いすることにました。

早速フランス航空の代理店が打ち合わせに当方の事務所に見えました。若い女性で眩しいくらいの美人でした。一応の打ち合わせが終わったということで私のデスクに挨拶に見え、ちょっと30分ほど時間があるので一緒にワインでもと誘われお付き合いしました。

彼女の話を要約します。1年程前までスチュアーデスでパリ-東京を何度も往復しました。日本は大好きです。日本人の心は純粋できれい!と非情にほめていましたが、表情から心からそう思っているという風情でした。子供が出来て産休を貰いました。やっと仕事に復帰しましたが目下は陸上勤務です。でも何とかしてもう一度飛行機に乗りたいと決心、そこで彼女のやったことは?

一気に二人の子供を養子にして三人の子持ちの母になったのです。まず一人は休暇を貰ってベトナムに行ってきました。無論子供を貰うためです。更にご近所の子供(プチノアールと言っていましたので多分アフリカの黒い子供でしょう)を養子にしました。

フランスの育児支援政策の詳細は全く知りません。子供が一人より二人、二人より三人と増えるにつれて補助金の増えることは間違いありません。収入との関係で所得税の軽減、その他複雑な支援制度のあることだけは間違いありません。保育園などの費用の軽減も累進するかと思います。要は一人では子育てと仕事との両立は難しいが三人になればなんとかなるということはこの事例からも理解できます。

「ぼつぼつ時間になりましたので失礼します。帰るころには子供のお風呂も終わり、私の夕食も出来ているはずです。」との話。念のためにどんなお手伝いさん?と聞きました。ここだけの話ですよと念を押した上での話ですが、アフリカ系の移民、但し不法移民。それだけに心のこもった作業をしてくれています。私は安心して仕事に付けます。ご両親は?全く関係ありません。近く日本まで飛べるでしょう。その時はまたご報告をします。と言うことで別れましたがその後の報告はありませんでした。

東 孝昭

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