フランスあれこれ74~パリの今昔=自転車

世界のコロナ事情が気がかりで時々フランスニュースを見るようにしていたのですが、パリの自転車事情が大きく変わっていることに気が付きました。

半世紀ほど前にパリに赴任したのですが当時は既に自動車ブームでした。高級車で名をはせたシトローエンが一般大衆向けに作っていた2CVと言うタイプ、これが日本の自転車に相当するスタンスだったかと思います。

しかし自転車がなかった訳ではありません。私の見た最初の自転車はロード・レーサー即ち競輪場で見るやつだとの印象でした。キーもなければスタンドもなく、前後の荷物台やましてや子供のシートなど何もない本当のロード・レーサーでした。道路わきのガードレールや街路樹に鍵付きのベルトで縛られていました。

パリの街中で自転車の走っている風景は記憶にありません。時には車の天井に一台、或いは小さなトレーラーに2台を載せてバカンスなどに出かける風情を見かけたことはあります。当時の自転車は郊外に出て広々とした緑の中を駆け巡るスポーツだったかと思います。一度はスイスの山奥でトレーニングをしているのを見ました。空気圧の低い高山でのトレーニングだったのでしょうか。

そう言えばフランスでは“ツールドフランス”が有名です。一年に一度フランスの各地方を巡って最後はパリのシャンデリゼでゴールします。バカンスのこの時期フランス中が熱狂して大変な騒ぎです。

私が2度目のフランス駐在から帰国する頃(約25年前)からちょっとした環境変化があったようです。最初はパリの東西にある大きな公園(ブローニュの森とヴァンセンヌの森)の中に自転車専用のサークル道路が造られたのがパリ市民の目を自転車に向けるきっかけとなりました。

時あたかも交通渋滞、排気ガスと空気汚染、そして頻繁に行われるストなどが市民の目を自転車に引き寄せたのです。パリ市としても同様だったようでこのタイミングで自転車普及に計画的な行動を起こしたのです。当初はバス専用線を自転車にも解放、道路での駐車の制限(禁止)、或いは夏休み中のセーヌ川沿いの車道を自転車専用に解放するなど種々のプランを提案していったようです。当時のパリ市長の積極的な提案と行政の行動力を推察する次第です。

やがてはパリ市内でのレンタル自転車(2007年導入)、更にはパリに隣接する郊外県との共同作業で通勤の車を自転車に誘導する、しかもその目標(2024年までに10%)を定めて改革を進めることに。

以上のような環境下でコロナ発生です。地下鉄バスなどを敬遠する人が増えるのは当然、自転車は売り切れ、入手まで6カ月待ちなどの様相もあった由。具体的に街中の写真をネットで見つけましたので添付します。場所はリボリー通り、手前後ろにコンコルド広場、右がチュイルリー公園で左がアーケードの商店街、前方右側にルーブル美術館があります。パリの中心で東西を結ぶ幹線ですが一般車両は禁止、左端のレーンがバス・タクシーや救急車などの一方通行、自転車が大きい幅を利かせています。

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