「シトローエンは自滅した!」

50年位前のことです。人事異動で事務所長が日本に帰国、社用車のシトロエンが残されました。法人スタッフで車の運転は私だけだったので後任が着任するまで私が車の面倒を見ることになりました。お蔭で閑な週末など家族と郊外のドライブを楽しんだものです。タイプは“DS21”(ご興味があればネット検索してください。1971年物が500~1000万円で中古販売されています。)エアークッションでスピードを出すと腰(重心)が下がり、ブレーキを踏んでも犬が座り込むような雰囲気になります。私が出した最高速度は160kmまで、200kmくらいまでは十分出るようでした。高速艇にでも乗っているような感触で、当時のドゴール大統領も愛用した車でした。

20年程の空白の後、私が2度目の赴任となりました。前任者はベンツを使っていたようです。古くなって買い替えようという事だったが後任が来るまで辛抱したと聞きました。私は「フランスでベンツはないでしょう、矢張りフランスの車を」と希望したのですが日本からの来客を考えるとベンツ以外には・・・」「シトロエンがあるでしょう、DS21の後継車が・・・」そこで帰ってきた返事は「シトロエンは自滅した!」でした。

こういう話になるとフランス人のコメントは非常に手厳しい。「シトロエンは顧客や平素のサービスガレージを無視して自分の利益と製造の合理性に目がくらんだため顧客から見放されたのだ!」「これこそ自爆だ!」背景は今では当たり前の技術、でも当時としては一般社会がついて行けなかったようだ。いくつかの別個のラインで製作された中間製品が最終ラインで組み立てられて完成するという製造ライン、当時としては画期的な製造ラインだったようです。時代がちょっと早すぎたという事でしょうか。フランス人に言わせればお客目線での発想に欠けると。ちょっとした部品の不具合でも、大きな部品を一つまた一つとクレーンで引き上げないと問題の部分に手が届かないとなると素人は無論、街の修理さんもお手上げという次第。その結果、まずガレージがそして消費者が横を向いてしまったという事らしい。

当時シトロエンは民間の自動車だけでなく、軍需用の装甲車など手広く製造していた様子。すかさず政府が介入、軍需部門を切り離し、民間自動車部門をシトロエンよりはるかに歴史も規模も後れを取っていたプジョーに再建を依頼する羽目になったとのこと。

 


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