フランスあれこれ(11)日仏交通事情

日本人は横断歩道の信号をよく守っている、実に優等生だ。でも右からも左からも全く車の見えないときなど私にはチョット違和感を覚えます。郊外の車の少ない交差点でも信号が赤だからという理由だけで横断しない。フランスではそこにポリスが居たとすれば、そのポリスは今の内に渡りなさいと言うだろう。

この交差点の信号の変わる時間が日本では非常に長い。多分フランスの倍近い時間ではないだろうか。皆さんは信号待ちでイライラしませんか。(参考までにアメリカはフランスよりもっと短い)

交差点で黄色のランプが点灯すれば日本では車のアクセルを踏んでスピードを上げて交差点を通過する。もたもたしていると後続の車に衝突されかねない。向こうでは黄色になればすぐストップ出来るように、交差点近くでは予めスピードを落としているのが普通だ。信号の変わる時間の長さが影響しているように思う。

フランスでは右側優先、日本は確か左優先だったと思う。思うという事は現在の日本ではあまり必要でないからだろう。信号のない、そして聊かでも危険と思われる交差点には「止まれ」と道路に書いてある。日本のポリスが物陰に隠れて違反者を見張っていることがある。獲物が掛かればすぐ警笛を鳴らして飛びかかる?

パリの有名な凱旋門は実は12車線の円形交差点だ。この交差点に既に入って走行中の車でも右側から入って来る車には道を譲らなければならない。侵入を一時ストップする赤信号もあるが時間が来れば青になる。交通量の多い時を想像頂きたい。

交差点での車の交差は日仏真逆だ。交差点の中央にポリスが立っていると想像してほしい。日本では前方から来る車と顔をすれ違うようにポリスの手前で交差するが、フランスでは出来るだけ交差点の奥まで突っ込んだ後で、即ち中央のポリスを通り越した向こうでハンドルを切る。そのため双方向の後続車が多い時には渋滞を作る。でも少しでも多くの車を通そうとする意図があるらしい。

ドライバーの交差点でのマナーは対照的だ。渋滞している時は日本では交差点手前で待機するがフランスでは突っ込んでくる。そのため渋滞以上の混乱が起こる。この状態で信号が変われば左右からの車も突っ込んでくる。この時ばかりは礼儀を知らない国民だと軽蔑したくなる。そこでこういう交差点ではお巡りさんがすぐ出てきて整理に当たる。特に週末など総出の勤務で信号の時間調整をしたり、手信号や笛で懸命の交通整理に当たっている。日本では警察は無関心、必要ないというか、或いは渋滞は既に諦めたという態度に見えるが如何なものか。

スピード制限では少し考えさせられる。日本は20キロオーバーまでは容認されて違反切符を切られることはない。高速道路で時速100キロ制限とすれば120キロまで容認され、130キロで走行していたとすれば途端に30キロオーバー分の罰金となる。正直なところ、ちょっと詐欺まがいの悪徳商法と言えば言い過ぎだろうか。市内の40キロ制限の場合60キロまで、即ち50%オーバーまで違反とならない。これに対しフランスはすべて5%が許容範囲となっている。高速道路が130キロ制限とすれば136.5キロを超すと違反となり、市内で40キロ制限の時は42キロと誤差は2キロまでとなる。この許容範囲は本当に誤差の範囲と言える。

高速道路での経験だが、郊外は大体130キロ制限で、三車線でも殆どの車が同じスピードの130キロで走行している。週末など交通量の多い時は実に壮観だ。私は一番外側の車線を走行していたが、ほんの少し5キロ程度スピードが落ちた時後続車から警笛が鳴った。「頑張れ!130キロで走れ!」ということだ。日本の高速道路と比較して情景を比較想像してほしい。

結論は警察も車の利用者も、そしてルールもマナーもすべてが別世界だと言える。国境を持たない日本では外国ナンバーの車を見たことがない。それだけに独自の交通マナーを作り上げたのだろう。帰国して20余年、いまだに日仏の交通ルールとマナーには違和感と戸惑いを覚えている。

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