私の好きな仏像 (2)

1.法界寺 阿弥陀如来坐像(国宝)

平等院の阿弥陀如来と甲乙付け難いという定朝様式の藤原時代の代表的仏像である。

寄せ木造り漆箔、八角九重の蓮華座に鎮座している。

法界寺は京都山科の日野にあるが、観光寺ではないので参拝者は少ない。そのため住職自らの説明が聞け、穏やかな慈容と流れる様な衣姿を見ると仏像鑑賞の醍醐味を味わえる。独占感が何よりである。

尚、山科の日野は親鸞の生誕の地であり、9歳で出家するまでこの如来さんに接して育ったという事であり感慨深いものである。

高校の歴史の教科書にも載っている有名な仏像である。

 

2.東寺(教王護国寺)講堂の二十一尊像

二十一尊像が立体曼荼羅として配置されている。東南から持国天、増長天、広目天、多聞天に守られ、金剛菩薩、大日如来、不動明王が圧倒的な存在感を示している。築530年の隙間から入る光線は時間によって変化し、何回行っても新たな発見がある。二十一尊のうち国宝十五尊、重文五尊である。

美男と言われる帝釈天は7年前東博に展示され入場者は100万人を超えた。その前年には興福寺の阿修羅が展示され仏像ブームを盛り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

3.六波羅密寺の空也上人立像(重文)

この寺は醍醐天皇の第二皇子光勝空也により951年に開創された。このお寺は京都の中心部にあるので源平の戦い、北条足利と続く時代の兵火により何度か焼失したが、空也像は先人の努力により現代まで生き延びている。

像は運慶の四男康勝の作で左手に鹿骨の杖を持ち、念仏を唱える口から五体の阿弥陀が現れるという写実的な彫刻である。信仰の対象というより、唱名仏教の伝道師として命がけの姿に私は好意を持っている。

井口睦康

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