オランダ点描(8)泥棒

盗難の頻発する地域、すなわち治安の悪い地域で住むことを敬遠したくなるのは当然です。たしかに、泥棒被害が頻発するとなると、どうやって防ぐかということをまず一度は真剣に考えるでしょうが、相手はその道のプロ。普通の民間の住宅に押し入るのにはそれほど苦労はないものと思わねばなりません。もちろん、充分に施錠はしていても、プロから見れば「朝飯前」なのかもしれません。

こういう私自身も、近所に泥棒が入ったということを噂で聞いて、「大変だ。うちも用心しなくては。」と道具屋に行って錠前やドアチェーンなどを買ってきて、あちこちのドアにつけて、多少の気休めにしておりました。しかし、私自身がどことなくほんとうに安心できていませんでした。それをあざ笑うように、数か月後、家族全員で夜6時過ぎから2-3時間の外出中に、勝手口のドアそのものを簡単に壊され、第一巻の終わり。錠前、ドアチェーンではなく、ドアそのものを壊されたらどうしようもない。見事にプロの泥棒の洗礼を受ける羽目になってしまいました。被害は確かにかなりの痛手でした。装身具などは女房がその時身に着けていたもの以外は全部根こそぎ持って行かれました。後で気が付いたのですが、台所に置いてあったHarrodsの大きなバッグがなくなっており、どうも小物などはこのバッグに入れて持ち去ったようです、思わず笑いが込み上げてきました。しかし、さすがのプロも全く手をつけなかったのが3階という屋根裏部屋。たまたまここの電球が切れていて真っ暗だったことで難を免れました。それに、せめてもの慰めは泥棒の仕事中に帰宅して泥棒と鉢合わせをしなかったことでしょう。

ということで、初めてオランダで自ら警察に通報、おまわりさんを呼んだはよいが、3人の土足のおまわりさんが、荒らされた現場を雨上がりの泥靴のままでさらに踏み荒らし(?)、言うことには「明日、鑑識班が来るから、それまでは現場には手をつけないで。」とのことで、10分くらいで引き上げ。マットレスからすべてひっくり返されたベッドは使えず、結局毛布だけ何枚か引っ張り出して家族でごろ寝をすることになりました。勝手口のドアは壊れたままで、平常時ならばこれ以上の不用心はないが、泥棒が目ぼしいものをもっていった後だから、もうこれ以上盗られるものもないかと思いながら、妙に安心して眠りにつきました。注)警官はこんな派手なパトカー(写真)でやってきます。
翌日鑑識班が来て現場を調べ、形式的に何カ所かで指紋を取る作業をしておりましたが、あまり被害者の私たちの助けになるようにも思えませんでした。あとは、被害届を出して、保険求償の手続きをすることで本件もあえなく終了!コソ泥・空き巣は都会では頻繁で警察もあまり真剣に(?)犯人を検挙するまでの捜査も現実にはむずかしいのか、実に事務的な処理ですべてが終了ということのようです。要は、自分の財産は自分で工夫して守らなくてはならないというどこかの教科書に書いてあるようなことが現実に起こったわけです。

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