追憶のオランダ(13)オランダ暮らしの便利帳

確かこんな名前だった。「オランダ暮らしの便利帳」、この小冊子には随分助けられた人は多いだろう。小冊子というには立派過ぎる非常によくできたガイドブックなのだ。特に、慣れない土地で生活を始める人のためにきめ細かく作られている。私たち家族もこの恩恵を受けた。たしか、在蘭日本商工会議所が作成したものと記憶している。手作り感のある、しかし、生活に密着した生きた情報が満載の本である。

外国人として、まず最初に何をすればいいのか。外国人登録の仕方、車がないと身動きが取れないので、運転免許の切り替えはどうするのか、家はどうやって見つけて借りるのか、そのあとガス・水道・電気は・・・。買い物は、食料品から日常使う道具類、どこにどんな店がるのか、日常使うものをオランダ語ではどう表現するのか・・・等々。日常生活を初めて、何か困った時には、まずこの本を見れば対処法がどこかに書いてある、なるほど便利帳である。

私ども家族は、前任者が置いて行ってくれたものを使っていた。かなり使い込んだ感じのものだったが、非常に役に立った。後で新版なるものを見たら、装丁もよくなり、内容もずっと充実していて驚いた。ちゃんと定期的に新しい情報を補って新版を発行しているとはさすがだと思った。

今、あれから20年以上たって思い出そうとしたが、当時何に困っていたかすぐには思いだせない。すべてに戸惑っていた感じもあったし、しばらくは周りの日本人たちのやることを真似していたような気もする。自然と行動半径が伸びていき、生活にもぎこちなさがなくなってきたように思う。女房などは、「私たち、所詮外国人だもの、オランダ人から見ると随分変な事してるわよ。」と、神経質なくせに至って呑気なものである。家族は私より半年遅れて来たから、住む場所の確保、壁紙・カーペット・家具類・電気製品・その他必要な日用品等すぐに生活ができるために必要なものの調達までの私がやったすべての手続き、その苦労は一切知らず、まことに結構な御身分である。

家具選びからして大変。女房が気に入るか要らぬかまで一応考えて注文した。また注文はしても、配達が日本のように時間の指定など出来ないため、その配達日には会社を休み、何時に来るか分からない荷物を一日中待っていなければならない。そんなことを何度もやった。なんと効率の悪いことと思ったが、それが当たり前の土地である以上、そうするよりほかに道はなかった。ある意味では、宅配一つをとっても、日本のサービスは過剰すぎるくらい親切だったことを痛感させられた。

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