追憶のオランダ(41)ジャンキー風の男に助けられる

ある日、夜遅くまで友人たちと飲んでいて自分でも結構酔ったなと思い、その日に限って車はガレージに置いたまま久しぶりに地下鉄で帰ろうと思ったのです。あとで考えれば最初からタクシーで帰ればよかったものを、あまり深く考えずに地下鉄に乗ったのです。しかし、乗ってすぐに、それは住んでいた所の途中までしか届かない終電だったことが分かりました。まあ途中まででもその駅でタクシー位あるだろうと、ここだけは日本式に考えていたのです。オランダではそうはいかない事はちょっと考えればわかりそうなものですが、酒のせいで正常な判断が出来ていなかったのです。

やはり、最終の駅についてみたがタクシーなどいるはずもありません。しようがない、電話で呼ぼうと思い、電話ボックスの方へ歩いていく途中、嫌な予感がしたのです。というのも、4-5人のどう見てもまともとは思えないジャンキー風の連中が皆酒の瓶やらビール瓶を手に、なにやら大声で騒いでいるのです。しかし、電話を掛けようにも手元にあるのは電話機では使えない2.5ギルダーという大きな硬貨だけだったのです。もたもたしていると、連中の中から一人こちらに歩いて来ます。そして、こちらが電話を掛けられないのを分かった様子で、「電話が掛けられないなら、俺が掛けてやる。タクシーを呼ぶんだろう?」と、すっかり見透かされているのです。そうだと答えると、おもむろにポケットから携帯を出して電話を掛けだした。「今ここに日本人がいる。タクシー1台。」。

何と親切かと思ったが、こちらもまだ警戒は解いてはいませんでしたが、それでも、ここはキチンと礼をしなければと思い、「おかげで助かった。」と言って、10ギルダー札を差し出すと、「そんなには受け取れない。」といって、持っていた2.5ギルダー硬貨を指差すのでした。ということで、それだけを受け取り、それでも「Too much」と言うではないですか。

その時はこちらの方が恥ずかしくなりました。人を外見で判断してはならない、こんなことは分かっているはずだったのですが、その時の自分はそうではなかったことに恥じいりました。もう先程までの酔いはとっくに醒めていました。

ほどなく、タクシーが来たので乗りこみ、窓をあけて親指を立てて言ったのでした。Prima! Dank u well. Goede avond! 最大級の感謝の気持ちをを込めて、なぜか英語ではなく、私が言える数少ないオランダ語で。


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