アウデワーター(Oudewater)は、ハウダ(Gouda)とユトレヒト(Utrecht)の間にある小さな町。しかし、小さい町ながら昔から「あること」で有名なのです。

皆さん、話には聞かれたことがおありだと思いますが、中世のヨーロッパでは天災・疫病・飢饉などの災害は魔女の仕業だと信じられ、そのために何万人という女性が魔女として命を奪われた歴史があります。誰かが、「あれは魔女だ。」と訴えると、その人は裁判にかけられ、魔女と認定されたら火あぶりなどで処刑されたり、あるいは裁判なしに魔女としてリンチで殺される、ということがあったようです。いわゆる魔女狩りです。単に宗教上の問題だけではなくそれ以外のいろいろな要素が混ざり合っているようですが、この時代の言わば集団ヒステリーのような状況であったと思われます。

その裁判の一つとして、魔女というのは体重が軽く、ほうきに乗って空を飛ぶということが信じられ、そのため嫌疑をかけられた人はてんびん秤で体重を測られます。軽いと魔女にされます。しかし、ここで告訴した人と体重を測る役人がグルになればどんな変な結果でも出すことが可能です。つまり、役人を買収すれば、告訴した人に都合の悪い人は魔女として抹殺することができるのです。さらに言えば、宗教上の問題に見せかけて、あまりその社会になじめていない人とか、単なる金銭トラブルを起こしてしまいそれを帳消しにするため相手を魔女として消し去る、というようなことも多かったともいいます。そのために役人に賄賂が使われるというようなことが横行していたということです。ひどい話では、大人の女性で体重が数キロと測定され魔女として処刑された記録も残っているそうです。あり得ないことが起こっていたのは、まさに狂気の沙汰、でも渦中の人々はそれと気づかないのです。

しかし、ここアウデワーターでは歴史的に一人の魔女も出していません。なぜなら、この町の裁判に使う秤が正確で、しかも裁判を行う役人が非常に清廉潔白な人が多く、賄賂が一切通用しなかったからということのようです。それで、時の神聖ローマ皇帝が全ヨーロッパに通用する「非魔女証明書」の発行する特権をアウデワーターに与えたそうです。そのため、オランダ以外からも多くの人が証明書を得ようと押し寄せたと聞きます。

さて、肝心のそのてんびん秤、現在も何代目かの木製のものが保存されていて、一見ブランコのように見えますが、町の観光資源として公開されています。そして、希望なら体重を測ってもらいその場で「非魔女証明書」を発行してくれますが、どうされますか?

 

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2020
10+