追憶のオランダ(52)近代建築の実験場

以前に「市庁舎はなぜ無傷で残った」でも少し触れましたが、ロッテルダムの街は他のヨーロッパの国々の歴史ある街に比べ少し変わったところがあるのです。この街は第二次世界大戦開始早々にドイツ軍の空襲により壊滅的な被害をこうむり、何カ所かの建物を除き瓦礫の山となりました。このような街はオランダ以外にも他に幾つもありますが、戦後他の街の多くは破壊された戦前の建物(歴史的に価値のある建物も多かった)を市民ができるだけ忠実に細部に至るまで復元することに情熱を注ぎ、実際瓦礫を拾い集め組み立て直したように元通りの街並みを再現しているのです。それは「復元・復旧」への情熱というよりも執念でしょう。その一つが有名なポーランドのワルシャワの旧市街です。
そのような例があるかと思えば、一方ではロッテルダムの市民はそれとはまったく異なった考え方をしていたのです。彼らが以前住んでいた旧市街の建物に未練がないわけではなかったのでしょうが、むしろそれより更地になってしまった以上は、昔にはこだわらず、思い切って全く新しい建物をどんどん建てて「復興」しようとしたのです。「復元・復旧」とは違い、「復興」なのです。古い様式にはこだわらず、新感覚の近代的なビルを建て始めたのです。その結果、数十年が経ちオランダ第二の都市ロッテルダムは実に奇抜な(あるものは奇抜過ぎるところもある)建物がたくさんたっているのです。ある意味では、新しい建築の実験場のような感じさえするのです。この写真は、ロッテルダム中心部のBlaak(ブラーク)という広場で毎週青空市場が開かれる所ですが、右端に見えるサイコロのような建物(しかもそのサイコロが角で立っている)通称キュービックハウス、また写真中央の鉛筆のような形の建物、通称ペンシルハウス。いずれも普通?のアパートなのです。そして、写真左に見える白い建物にはまるで工場のように黄色い太いパイプがめぐらされています。これはなんと市の図書館なのですが、外観を見ただけではとても図書館には見えません。実は、筆者もしばらくここが図書館だとは気づきませんでした。かと思えば、折角きれいに四角に造った高いビルを袈裟懸けに斬ってずれた様な感じにしてしまったビルもあり、実にユニークな建物のオンパレードです。
筆者がロッテルダムを離れてから随分なりますので、今どんな新しい建物が建てられているか想像もつきません。以前にも増してユニークな建物に面食らうか、場合によっては呆れてしまう可能性が大であります。これぞ、ロッテルダマー!オランダ気質の真骨頂。要は、何でもあり、なのです。

 

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