続おぼろげ記憶帖 (12) フランスでの子育て

1960年代、子供を連れて公園に行くと絵はがきのような風景の中でノンビリとベンチに腰掛けて日向ぼっこをしているおばあさんに出会います。そしてたいてい“どこから来たの?何歳?”と聞かれました。シノア(中国)? べトナミアン?(ベトナム人)Non!その後は両手を挙げて”それならどこ?“ ”ジャポネーズ(日本人)”と答えると暫くして日の出ずる・芸者・侍と返事が返ってきます。その頃はパリの大使館に届け出ていた日本人は2000人位だったそうですから致し方ないのかも知れません。それから20年の後では初めから日本人? と聞かれました。世の中がすっかり変わったのでした。

幼稚園の送り迎えは勿論、子供が10歳になるまでは小学校も親が付き添い、手を繋いで歩きます。広い歩道でも同じことです。万が一それをせずに交通事故にあったり、転んだり、ぶつかったりは全て親の責任。車でも他人でも道路でもないのです。日本とは責任の所在が全く違うのです。このような考えの中では自分の身は自分で守る。子供は親や周りの人が守る。もしよちよち歩きの子供でも芝生に入ると親が社会のマナーを教えると同時に叱りつけます。食料品店で息子が何かを触ったのです。幼児でしたし店で叱ることもないと思っていましたら”どうしてすぐに叱らないの?子供は後になったら忘れるからすぐに叱りなさい。日本ではこうなの?”と私が叱られました。会話は出来なくてもこの時はしっかりと理解出来ました。日本では?と言われると日頃から日の丸を背負って暮らしている感じでしたからその場ですぐに叱ったことがありました。そもそも大人と子供の生活環境ははっきり区別されていて、買い物、レストラン、お葬式には連れて行くことはないようです。

その頃は1LDKの狭いアパートに住んでいました。4歳になった頃”子供のベッドはどこに置いてある? 台所?”と聞かれてポカンとしました。4歳までは乗り物は無料ですがそれ以後は大人と同じ料金になります。半賃というのはありません。その上、三半気管の発育の為に揺れることも必要だとのことで幼児でも座席に座らせることなく親の傍にしっかりと立たせることになっていました。4歳で大人の仲間入りをするという事なのでしょうか?

日本とは何という違いでしょうか?「郷に入りては郷に従え」で即刻家探しをして引っ越したことは言うまでもありませんでした。

                             東 明江

 

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