続おぼろげ記憶帖 (9) 夜のレストラン

3ツ星ではないけれど素敵なレストランを予約したということにします。予約なしに訪れることはありません。大抵は2人または4人。偶数のテーブルの方が料理人も手順よく都合が良いようです。ミシュランの星付きのレストランでは夜8時ではまだガラガラ。8時半を過ぎ9時頃にようやく席は落ち着きます。

先ず楽しみなのはメニュー選び。アペリティフに豪華にシャンパンやキール(白ワインとカシスリキュール)、アルコールに弱い私はシャンパン ノン アルコール。これはガスの一番強いソーダ水ペリエのことで最近は日本でも見かけるようになりました。(夏の暑い時キンキンに冷やして飲むと最高です)アミユーズ ド ブッシュというお口汚しとでもいうのでしょうか小さな一品が運ばれてきます。一品料理もありますが大抵はメニューからオードブル・メイン・デザートを選ぶことが多いようです。それぞれ3・4種類の料理があります。その中から組み合わせを考えるのですがこれがまた楽しく時間が掛かります。自分の好みとお腹の具合、肉か魚を決めて。どうしても食べてみたいというお皿があるとデザートから決めたり、メインを遠慮してオードブルを2つにしたり。タイミングよくギャルソンが注文を聞きに来ます。4人のテーブルとして先ずはお客様らしい女性・もう一人の女性・男性・最後に支払いをする様子の男性の順。座る席の決まりがあり、勝手に好きなテーブルに座ることはありません。男女は対角線に座り、支払い係の男性は入り口に一番近い席に座るのが常識のようです。料理が決まればワインリスト。ワインは料理に合わせて選ぶもの。完璧な自信のない時はソムニエに選んでもらうのが一番。店の格とソムニエとしてのプライドを持って料理に合う最高のワインを選んでくれます。当然お客のフトコロ事情も飲み込んでいますからべらぼうな高級ワインを薦められることもなく気持ちよく食事が出来るというものです。

メインのお皿は2人のギャルソンがそれぞれ両手に持って来て一斉に、そして間違いなく注文主のテーブルに置くのです。大抵は料理に銀の帽子が被っています。それを呼吸を合わせてさっと取るのです。思わず声が出ます。この儀式?が滞りなく終わって初めて一流のレストランといえるのです。この後デザート、チーズの出ることもありますがコーヒー・紅茶・リキュールと進みます。3時間は充分にかけてのフランス料理。満腹!ご馳走さまでした。

日本語に「いただきます」という言葉がありますがフランスではその意味の言葉がなく”ボ ナペティ!(Bon apetit!)”と言いますが、これは美味しく頂きましょうという感じです

                               
東 明江

 

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