追憶のオランダ(43)オールドアムステルダム

「オールドアムステルダム」これは私が一番好きなオランダのチーズの銘柄です。オランダのチーズなのに、なぜか英語の名前なのです。別に宣伝するつもりはありませんが、いろいろな銘柄を試した結果私自身が一番気に入ったものなのです。日本流で言えば、ゴーダチーズ(オランダ語では、ハウダ・カースと発音します)ですが、数ある銘柄の中でも最も旨味が凝縮して感じられるのです。約6年の任期を終え帰国する時には、丸ごとを持って帰りたかったくらいです。しかし、実際は直径が約35cm・厚さ約11cmほどのゴロンとした12kgもの塊をまさか手荷物で持って帰るわけにもいかず、また丸ごとならいくら現地では日本より安いと言っても値段は馬鹿になりませんので、結局4分の1にカットされたものを2個だけ(要は半分)で我慢しました。

チーズが好きだからと言って、オランダ人が食べるほどは食べませんが(ある統計によるとオランダ人は日本人の10倍くらい食べるという数値が出ています)、何ケ月か経って最後の一切れを食べ終わってからのさびしかったこと。輸入チーズを売っている店にもあちこち足をはこびましたが、今から20年以上前にはオールドアムステルダムを置いている店はなく、諦めていました。それが、いつの頃か偶然銀座のあるデパートのチーズ売り場で小さい幅の扇形にカットしたものが並んでいるのを発見し、女房と二人で、「やった!」と大喜びしたことを思い出します。その夜は、我が家は急遽オランダ飯になりました。何ということはない、オランダ飯と言っても我ら夫婦が勝手にそう呼んでいるだけで、チーズ・ジャガイモ・ソーセージ、それにビールとワイン、これが食事のすべてです。質素そのもの。このワインというのも、本当のワインももちろんですが、オランダのスピリッツであるジュネーバー(これをかの地ではコーレンワインと呼びます)は欠かせません。これを欠くと、ドイツと差がなくなります。また、その頃ほとんど手に入らなかったホワイトアスパラガスかムール貝などが手に入った日には、我家はいつも自動的にオランダ飯になったものです。

最近はいろんな所(小田急系のスーパーでも)でオールドアムステルダムを見かけるようになり、今では我家の冷蔵庫には小さく扇形にカットされてはいますが、常備されるようになりました。娘も、時々「見つけたから買ってきたよ。」と言って、持ってきてくれます。爺が食べ、母親も食べるので、小さい孫までが喜んで食べるようになっています。食習慣とは恐ろしいものです。小さい時からチーズを食べ続けるとオランダ人のように背が高くなるでしょうか?でも、オランダ人並に食べないと期待はできないかもしれませんね。

 

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