フランスあれこれ(3)薬の功罪

私は医者ではないし薬学も素人だということをまず宣言します。

50年ほど前の話、ドイツのデュッセルドルフで聞いた話。冬の寒い時に子供が風邪を引いたとします。ドイツではその子を薄着にして街角を一周させます。暖房のきいた自宅に帰ると子供が高熱を出して、やがて回復する。確かに熱を出さないと風邪ひきは治らないと耳にした記憶があります。

今度は私自身の話です。
20年位前のフランスでのゴルフの話です。冬も近づく寒い頃肘を痛めて思うようなゴルフが出来なかったことがあります。スイートスポットにジャストミートした時は良いのですが、少しでも外れた時のひじの痛みは耐え難いものがあります。肘を抱えてうずくまります。

その場にいたフランス人の一人が、帰り道に医者を紹介するから彼についてくるよう言われました。勧められた医療はオメオパティー(日本語で確かホメオパティー?),、日本でも存在するようですが非常に珍しい治療です。要はごく微量のミネラル系の漢方と思えば良いかと思います。長期に服用して体質転換を図るものです。

もう一人が私に勧めたのが毎晩洗面器に氷水を入れて最初はひじを10秒程度、左右交互に入れ、10回くらい毎日冷やすというものです。慣れればもう少し時間を増やす。これも期待する効果は体質転換というか自然に肘が温まる体質を作ろうというものです。一方日本では痛み止めのシップ、そして肘を温かく保つためのサポーターではないでしょうか。

そこで登場願うのが今回ノーベル医学生理学賞を貰った本庶佑京都大学特別教授です。
体内では通常、免疫が働いてがん細胞を異物とみなして排除する。しかし、免疫細胞には自身の働きを抑えるブレーキ役の分子があるため、がん細胞はこれを使って攻撃を避け、がんは進行してしまう。そこでブレーキ役の分子の役割を発見し、この働きを抑えてがんへの攻撃を続けさせる新しい治療を提案した。(新聞記事)
要は今までがん細胞を直接攻撃していた外科手術、放射線、抗がん剤とは異なり、人間自身が持つ免疫力を使うと言ものです。

フランスで勧められた医療はいずれも本庶先生の発想に近い、或いは少なくとも何か共通するものを感じられませんか。

10年ほど前に今度は膝が痛くなりました。エジプト旅行をしたときです。場所はシナイ山、真っ赤に焼けた山並み、今も忘れられない光景でした。忘れられないのはそこからの帰り道です。シナイ山はモーゼが神から十戒を授かったところです。正直私は不信心の罰を受けたのではと思いました。

整形外科の先生の見立ては歩かないから筋肉が低下しているとして歩き方まで指導を頂きました。とりあえず痛み止めの注射、張り薬、そして付属のリハビリコーナーで超音波や、温熱治療を受けました。このリハビリをしっかり観察して、ご近所の鍼灸院で同じような治療を続けました。

治療を受けて帰宅、暫くすると膝がもう一度鍼灸院に行きたいと要求します。そこで気が付いたのはフランス人のアドバイスです。さりとてオメオパティーや氷水はしませんでしたが、きっぱり鍼灸院をやめて翌日から医者に勧められた歩行を始めました。お蔭で少しばかり筋肉も付き、今では往復徒歩での図書館通いが日課になっています。家では朝日新聞、図書館で産経新聞と言う具合です。

NHKの受け売りを一つ。便秘薬の常用は一週間程度まで、常習化すると逆に悪化すると。体が怠けて薬がないと動かなくなるという事でしょうか。

私は医者ではありません、念のため。

東 孝昭

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