フランスあれこれ38~思い出のレストラン「ピエ・ド・コッション」(Au Pied de Cochon「子豚の足」)

今から50年位前の話です。

フランスに赴任してすぐの頃、単身赴任3名が残業の後一緒に食事をしようという事になり、相談の結果当時ちょっとした噂のレストラン「ピエ・ド・コッション」にしようという事になりました。このレストランは創業1945年、パリの中心部に近い中央卸売市場(当時)の一角でした。いずこも同じでしょうが深夜や早朝に全国からの食料品が到着、一息ついて腹ごしらえに備えたレストランであることは当然です。逆に夜は時間外で薄暗く物寂しい雰囲気でした。

まずはオニオングラタンスープ、ボリュームたっぷり、味も良くこれだけでもそこそこでした。ドリンクは無論赤のハウスワイン。ここまでは十分満足。

次に店の名前の通り、そして噂の一品ピエ・ド・コッション。子豚の足ですが蹄がついたまま!こんなゲテモノ見たことがない。無動作にテーブルに置かれたお皿を見ただけで心臓が高鳴りました。

恐る恐る口に入れてみたが不味くはない、だが子豚と思うと目を閉じたくなる。口に入るのは脂肪の塊に感じた。もう一品はクー・ド・ポール(”queue de por”豚のしっぽ)。

大きなお皿を大きくはみ出す長い鞭のよう。豚のしっぽは丸くまるまっていると思っていたのだが?こちらは殆どが骨、要は脊椎の延長。口に入れるとゼラチンの感じ。人間も進化の途中でしっぽを無くしたと言うではないか!しかも焼け残りの産毛が少し残っている!

その後中央市場は郊外に移転、私が2度目にパリに赴任した時はこの付近すっかり近代化され昔の面影はなくなっていました。近くを散策したこともあるのですがピエ・ド・コッションについては私の記憶から消えていました。改めてネットで調べてみてビックリ!日本語のサイトもあり、すぐにでも予約ができる。メニューを調べてみたが子豚の足も豚の尻尾は見つからない。名前だけでは理解の難しい料理がずらり、しかも値段もお安くない。内装も一転して一般大衆化してスマートに変身。ブログのコメントも多く皆さんご満足の様子。実にうまく環境変化に適応して姿を変え、うまく発展したものだと感心します。

中央卸売センターの跡地はレアール・フォーブルグ”Les Hales-Beaubourg”として文化とショッピングの街として雰囲気を一変し、一大観光地になっている。ご興味があればパリの観光案内をご参照ください。

東 孝昭

 

    フランスあれこれ38~思い出のレストラン「ピエ・ド・コッション」(Au Pied de Cochon「子豚の足」)” に対して1件のコメントがあります。

    1. Henk より:

      懐かしい名前を聞きました、ピエ・ド・コッション。出張でパリに行った時、友人が行こうと言いだしたのがこの店でした。地図をたよりに店を探して。私は豚足はあまり得意ではなく、店には来てみたものの気がすすまず、メニューを見て私はピエはパスして、牡蠣と白ワインを注文。1ダースだったのですがあっという間に平らげ、もう1ダース追加。たらふく牡蠣を食べたました。チラリと他の客を見ても意外にピエ以外のものを食べているのでその時は何となくホッとしましたが、それなら何のためにピエ・ド・コッションに行ったのだと、今更ながらに思います。牡蠣を食べるなら別に他の店でもよかったのに。20年以上前のことです。
      Henk

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