笑説ハイムのひろば49~「シンゴさん」こと饗庭シンゴ

ウェブサイト「ハイムのひろば」は、元々、ハイム住民のための情報交換サイトとして始まった。理事会から運営を委託されたハイムのひろばをつくる会は、基本路線である住民のためになるコンテンツとして、理事会からの報告やお役立ち情報などに重点をおいていた。スタートしてまもなく「緑の環境委員会」を公開した。その後4年を経過するが、今や、毎日眺めているハイム構内に植わっている樹々の一本一本について知ることが出来る樹木図鑑&樹木マップまで完備されている。

半年が過ぎた頃、新しい展開はないものかと考えた末思いついたのは、このサイトを事務的な情報交換の場から、もっと住民が楽しめるように趣味の世界にも広げることだった。その結果、姉妹サイトとしてハイム美術館」をスピンアウトし、住民から絵画や写真など作品の提供を受けて展示した。続いてハイム文芸館」を創り、住民のエッセイや旅行記などを収録していった。

一般に、マンションの管理組合が運営するサイトは、事務的な情報交換の場としての利用が殆どであるが、「ハイムのひろば」はこの時点で少し進化し始めたと言えるだろう。住民だけの閉ざされたサイトではなく一般にも公開されていることで、住民の友人・知人の訪問者が増え、中には外部から参加したいと考える人も出はじめていた。

美術館も文芸館も住民からの作品提供に限界が見え始めた頃、スタッフがそれぞれの友人・知人にも呼びかけて協力を依頼することにした。世間には絵を描いたり写真を撮ったり、また日記や旅行記などを執筆する意欲のある人は結構いるが、それら作品を発表する場を持たない人も多い。

今回紹介するのは前回紹介したソフィー杉下と同じく、代表である山名賢治の友人・饗庭シンゴだ。既に、「シンゴ旅日記」でお馴染みでその深い知識と軽妙な文章にファンも多い。まず、これまでに書きとめたというエッセイのボリュームに圧倒される。最近では、「シンゴほぼ日めくり川柳譚」、「シンゴ歴史巡り」と新しい連載が始まっている。

10月のある日、西野敏彦に一本の電話が入った。代表の山名からだったので、一瞬、サイト上のトラブルかと不安が過ったがそうではなかった。聞くと、あの饗庭シンゴと会う約束があるので、一緒に行かないかという誘いだった。西野は、痛めていた腰に少し不安があったが、こんなチャンスはまずない、最初で最後のチャンスかもしれないと思い、是非にとOKした。

三人は、武蔵小杉で待ち合わせて、タワーマンションが立ち並ぶ一角にある昔ながらの居酒屋で一杯やることにした。二人の旧友同士の中にあって、西野は初対面にも拘らず遠慮もなく話に花を咲かせることができた。初めてハイムのひろばへの投稿記事を読んで以来、いつかあの「シンゴさん」に会って話がしたいと思っていたのだ。

聞くと24年以上、何と人生のほぼ3分の1を海外で単身赴任で暮らしたそうだ。行く先々で何にでも好奇心が沸き、気になる性格のようだ。西野は少しだけ自分と似ている部分があると思ったが、ここまで徹底的に詳しく調べて記述するのには圧倒される。しかし、長年に亘って書き溜めた大量の文章を発表するための自身のブログは持っていないとのことだった。その意味で、ハイムのひろばへの記載は有難いと言う庭の言葉に、西野は"WinWin"の関係で良かったと思った。

三人はお互い今後の更なる協力を確認し合って別れた。

(笑説「ハイムのひろば」の内容は限りなく事実に近い部分もあるが、登場人物をはじめすべて架空の物語である)

蓬城 新

 

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