「北米大陸横断道路ルート66単独ドライブ」10
<フラッグスタッフ:アリゾナ州>
翌日、ルート66の要所フラッグスタッフ(Flagstaff)に到着。人口5万人程の昔の宿場町だが、グランドキャニオンが近く、北アリゾナ大学や有名なローウェル天文台もあり、ここは若者が住みたい町ベスト3に入っているらしい。私は町のホステルの1泊40ドルの個室に3日間滞在した。
自然に囲まれ、小さな駅周辺に全てが集積し、町の規模の割りにカフェやバーやレストランが多かった。人々はとてもフレンドリーで、どこでも気さくに話しかけて来る。確かに居心地が良かった。
4人相部屋のドミトリーを含めて40人程収容するこのホステルの客は、ほとんどヨーロッパからの若者達(20〜30代)である。
夜になると庭のテーブルに酒や食べ物を持ち寄り夜中迄語らう。やばい、イタリア人もフランス人もスペイン人も、その他全員流暢に英語を話す。いつものことだが、前半戦は私もその会話に乗って調子良く話す。
しかし後半戦はヒヤリングオンリーになっちゃう、悲しい〜(泣)。だだし、日本人若者が二人いたので一緒に外へ飲みに出た。二人ともそれぞれ3ヶ月の放浪の旅だ。私もそんな時代があった。先輩面しておごってやりながら旅の哲学なんぞ語って聞かせた。迷惑だったろうな(笑)
<グランドキャニオン:アリゾナ州>
中1日は一人で80マイル離れたグランドキャニオンヘ。アリゾナ州北部にある広大な峡谷で、4000万年前からコロラド川の浸食作用によって削り出された地形だ。向かう途中でヒッチハイカーのメキシカン高校生二人をピックアップした。
私はほんの少しスペイン語が理解出来る。スペイン語を教わる即席移動教室になり賑やかにドライブ。この世界遺産には30年前、一人でラスベガスからセスナ機で訪れ、その果てしなく広く深い渓谷を空からも眺めた。渓谷は平均の深さ約1200m、長さ446km、幅6km~29kmと云う。今回は柵も無い崖の渕から、恐る恐る身を乗り出して、深い谷底をカメラに収めた。
<ラスベガス:ネバダ州>
3日目の昼にフラッグスタッフを出発。スピリチュアルな赤い岩山が連なるセドナ国立公園を2時間程巡り、40号線から州道を経由してラスベガスへ。まだ明るい7時に到着。
3回目の訪問で、ホテルは今回も「サーカス・サーカス」に決めていた。3000室もあるが、古くてファミリー向けで、決してお薦めできるものではないが、便利な位置にあり、広い部屋が70ドルと格安だからだ。
ベガスはこのホテルに限らず、皆巨大で、内容の割りには料金が非常に安い。沢山泊まってもらって、ホテル内のカジノでお金を使ってもらう戦略である。しかし近年ではギャンブル依存脱却の方向もあり、ショッピング、アトラクション、シルク・ドゥ・ソレイユ等の新しいショーで集客するホテルも増えている。
そして今も変わらず、街は全て24時間営業の眠らぬ町だ。
私はギャンブル好きではないが運試しに限定50ドルで挑戦。わずか5分で撃沈。勝てる訳が無い。元手が何万ドルもあれば時には運が上向き、儲かった所で無理せず止めれば金が残るのだが。人はその甘い欲に負ける。
ホテルの同じフロアーにバンクーバー(カナダ)在住の日本人中年女性二人が宿泊していた。滞在4日目で、カジノで既に4000ドル位負けたと云う。一杯誘われてハードロックカフェに。カナダにある日系大手企業支社で仕事する二人は、社内のセクハラ不満を大きな声で私にぶちまけた。「私達を接待係扱いよ」と。日本に帰りたいけど今さら、、、と。酒豪の二人は元気な足取りで又カジノへ消えた。
私は2泊滞在し「もうこれが最後だろう」と思いながらベガスを離れた。
いよいよルート66終着地ロサンジェルスへ。
つづく