新加坡回想録(32)マレー語Ⅱ「キラキラ」「サマサマ」
シンガポール国民の約15%はマレー系の人で構成されています。マレー語で日常よく使われる言葉に「キラキラ(kirakira)」というのがあります。これは「およそ」「大体」「大まかには」といった意味です。英語で言うところの「About」に当たります。「キラ」の意味は「思う」「考える」ですが、二つ重なるとこのように変化します。物事に確信が持てない時や適当にごまかしたいな~という時にも使います。
この言葉から見えてくるマレー人の性格は、良い意味では「おおらか」「楽天的」「些細な事をいちいち気にしない」となります。南国の豊かな恵みの中でのんびり育ってきた人々に非常に当てはまるような気がします。
反対に、悪い意味では「いい加減」「おおざっぱ」「適当」といった風になります。几帳面な性格の日本人からすると時に、そのいい加減さにイライラしたり頭にくることもあるようです。しかし、日本人も「Yes」「No」のはっきりしている英語国民から「意味のわからない笑顔の曖昧さ」を指摘されたりすることがあるので、批判ばかりはできません。
「サマサマ(samasama)」は「お互い様」「一緒に」という意味です。「サマ」一つだと「同じ」という意味です。英語の「same」ですね。これを2回繰り返す事で「お互い様」と言う意味に変化します。「ありがとう(terimakasih)」と言われた時にその返答としても使われ、この時は「どういたしまして」と訳すのがいいですね。
この言葉から見えてくるマレー人の性格は、「助け合い」「共に」何かをしたい、という心の現れのようです。マレーシアでは近所、親戚、家族、そして村などの地区の中での助け合いを非常に大切に考えており、小さい頃からそういった環境の中で育っています。従って、何か困った事が起きたり、亡くなったような場合は驚くほどに助け合います。「相互扶助」の気持ちがとても強いように見えます。
尚、マレー語について書きましたが、「キラキラ」も「サマサマ」もマレー語とインドネシア語で共通です。どちらかの国で「テリマカシ(ありがとう)」と言われたらすかさず「サマサマ(どういたしまして)」と答えましょう!
(西 敏)