新加坡回想録(54)食べ歩きのすすめ
シンガポール人ほど食道楽な国民はいないんじゃないかと思えるほどこの町にはレストランが多い。人口の7割強を中国人が占めている以上中国料理店の多さは他を圧倒しているがその料理のバリエーションの幅の広さも特筆ものである。
広東料理をはじめ潮州、福建、海南、四川に北京そして日本ではなかなか味わえない客家料理の店もある。 日本人に人気があるのはエビやカニをふんだんに使った海鮮料理。 生きたエビをブランデーで酔わせて生のまま食べる料理(Drunken Prawn)などは珍しく日本人受けするようだ。また、シンガポールらしさを体験したい人には現地の人たちに混じって屋台での食事も楽しい。
インドやマレー料理などアジアの地方食豊かな郷土料理もある。そしてねね料理というマレー料理と中国料理とがミックスされたシンガポール独特の料理もある。シンガポールの文化を象徴する料理である。
これらのアジアの料理以外にもフランス料理からイタリア、ドイツ、スイス、メキシコと世界のレストランが勢揃い。 本格的な西洋料理もゴージャスな雰囲気の中で味わえるここはアジア最大のグルメシティである 。
極論すればシンガポールでは名所旧跡巡りはそこそこにして 世界の味めぐりを楽しんだ方が得策かもしれない。この街では食べることとショッピングに集中したほうがずっと旅の思い出として残るだろう。 食べて買うことに興味がある人には何日滞在しても飽きることがない街である。
(西 敏)