手拭いの暖簾(4)長雨と雨蛙
空から地面へと降る雨。縦の真っ直ぐな何本もの線が藍色の3色のグラデーションで染まっています。梅雨に毎日シトシトと降る憂鬱な雨を連想させます。
もう一つは青緑の雨蛙がピョンピョンと飛び跳ねている躍動感。
静と動の2枚です。
色彩も何となくバランスが悪いように思うのです。けれどもこの手拭いを見ていると気持ちが落ち着くのです。不思議な手拭いです。
この2枚はやはり並べて吊るしたいお気に入りです
雨が止んだ後まだ周りに充分湿り気のある頃、飛び跳ねる雨蛙を素手で捕まえて遊んでいました。一度もおしっこを掛けられたことはありません。
太平洋戦争で大阪の街中から郊外へ疎開していた頃の話です。
トンボや蝶々を追いかけ、これも手で掴みました。この間試してみましたが上手く捕まえることができ、大満足。子供に帰った気持ちでした。
小学校へ入学する前の2年半(年齢がバレてしまいました)の暮らしは、今になってはほのぼのとした懐かしい思い出になっています。
でも75年経てもトラウマになっていることがあります。調布・厚木・福生・横須賀。行き帰りのルートはあるようですがどこからどこへ飛ぶのでしょう。
三角の形や小型の飛行機の爆音とヘリコプターとの違いは耳さとく聞き分けることができ、
「B29が来た!」
と叫んで空を見上げています。「三つ子の魂百まで」とはこの事なのでしょうか。
戦争は二度と起こしてはならないと思う昨今です。
AZ