ギリシャ神話「てんびん座」

「てんびん座」の天秤は、人間の善悪をはかるための道具だそうです。その持主は、正義をつかさどる女神アストレアです。第七回は、「てんびん座」です。

その昔、神と人間は地上で一緒に暮らしていました。しかし、時代が経つにつれて人間たちが嘘をつくようになり、他人の物を奪うようになり、銅で武器をつくり争いを始めると、神々は呆れて天上の世界へと引き上げていきました。

しかし、正義の女神アストレアだけは、地上に残り人間たちに寄り添いました。彼女は善悪をはかることの出来る天秤をもっていました。争っている人間の魂を天秤にのせると、良い方の皿は上がり、悪い方の皿はさがりました。

人間たちは、アストレアの裁きをありがたく受け入れていました。しかし、やがて青銅が発明され、英雄たちが現れるようになると、各地で戦争が起こり多くの人間が命を落としました。それでもアストレアは正義をとき、天秤で裁きを下していましたが、人間たちは次第に彼女の言葉に耳を貸さなくなっていきました。

そして、ついに人間たちは大量生産を可能にする鉄を発明しました。鉄製の武器が使われて戦争は大規模になり、凄まじい数の人間が命を落としていきました。

アストレアは悲しみ、嘆きました。そして、とうとう人間を見限り天に帰って行きました。こうして、彼女の手から離れた天秤は「てんびん座」となって夜空に残ったのです。

 

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