シンゴ旅日記インド編(その36-1)大阪のオッサンが並ぶの巻(上)
まずは、ちょっと前にスーパーで買い物してレジで並んで待ってた時の話ですわ。
レジの手前には日本と同じようにチョコレートとかお菓子が置いてまんのや。
そこに若い女性が二人ばかし、お菓子を選んでおったんで、ワテはこの子らはレジに並んでるのや無いと思って横を通り過ぎてレジの列に並んだんですわ。
そしたらその子らがお菓子を持ってレジに行くやないですか、何でやと思ったら、前でレジを打ってもらっている人のグループやったんですわ。
その子らはすでにレジを打っているのにワテが見てるだけでも3回もお菓子を取りに行ったり来たりしたまんのやで。
買うモンを全部決めてからレジに行けと言いたかったんですわ。でも言えませんでしたわ。
ワテの一つ前のお客さんな、レジを打ち終わって袋に詰めてくれた商品を、袋を逆さまにしてレジ台の上にぶち開けてレジの人に商品の数え直しをさせとるんですわ。
それも二袋もでっせ。何でやねんと思いましたわ。
そして買った商品の中から一個を外したんですわ。
買わんでもエエもんを入れとったんかいな。
レジに行く前に買うモンだけにしとかんかいと言いたかったんですわ。でも言えませんでしたわ。
そんでワテの番になってカゴをレジの上に置いたら、後ろから来たオッサンがワテのカゴの横に商品を置くんですわ。
商品が少しだから先に計算せいちゅうような感じでしたわ。
ワテが静かに『列に並んでね』って言おうとする前にレジの人が後ろに行きなさいと目で合図をしたんで、オッサンは後ろに行って並びましたがな。
私の番になりましたわ。レジもレジですな。同じモンを複数買うても一個一個確認して一個一個レジ打つんですがな。
レジの機械に複数買った時にまとめて掛け算するボタンが無いのかいなと言いたかったんですわ。でも言えませんでしたわ。
先日、一泊二日の国内出張に出かけましたんや。
朝6時半の飛行機に乗らないけませんのや。
そやよってに、4時に起きて、5時に空港に着きましたがな。
まだ真っ暗でんがな。いつものように空港の建物の外で一回、中に10歩入って一回と本人確認とチケットの検査を済ませてチェック・インですわ。
そしてボディ・チェックに向かったんですわ。アレッ、何じゃこれはと思いました。
その朝はロビーにSの字が3回できるくらいに人が並んでまんのや。
初めてのぎょうさんの人込みですわ。
どこが尻尾か分からんくらいでしたけど、やっと見つけて並びましたんや。
少しずつ進んでいきましたわ。
するとオバサン二人連れがS字のまがり角のとこに平気な顔で割り込んで並んだんですわ。
誰も文句を言いませんのや。私も言いませんでした。いや言えませんでした。
そんで徐々にボディ・チェックに近づいて行くんやけど、出発時間が迫っている客を優先して先にやり過ごさすんでんな。その人らが当然の顔して、始めから並んで来た私らの横をスースー抜かして行くんですわ。ちゃんと出発時間に余裕を持って来なアカンがな、ワテかて1時間半前に来たんやと言いたかったんですわ。でも言えませんでしたわ。
そしてボディ・チェックが終わって二階に上がって搭乗ゲートの前ですわ。
出発時間の30分前でした。ワテが行くと一人しかお客さんがおらんかったんやけど、直ぐに私の後ろにどんどん人が並び始めましたわ。
そうするとアナウンスがあって女性が先に行くことになったんですわ。
どんどん女の人が先にゲートを通り過ぎて行くんですわ。
何でか分かりませんわ。初めてのことでしたわ。
そしてやっとワテら並んでいる男性たちの番となりましたがな。
そんでゲートの入り口でいつものように警察官にチケット見せて、手荷物のタグ見せて通路に入りましたわ。アチャ、なんや通路にX線検査とボディ・チェックがあるやないですか。
そりゃ、その日の一週間前にベナレスで小さなテロ事件があったからチェックは厳重にせなアカンけど搭乗口を過ぎてまで検査するんかって言いたかったんですわ。でも言えませんでした。
歩いて飛行機の側に行ってタラップを登って飛行機に乗りますわな。これがまたすんなりいきませんのや。通路一本で両側に3人づつ乗る中距離飛行機でんがな。入り口から中に進まへんのですわ。何でかというと、座席間隔が狭いさかいに通路側に座った人は窓側に座る人にたいしていちいち通路に出て中に入れて上げないかんのですわ。それにみなさんは荷物をようけ持って載ってくるさかいに自分の席の上のコンパートメントばかりでなくよその席のとこにも荷物をいれはるんですわ。後から来た人は手荷物を入れるとこがないんで突っ立ってCAが助けてくれるのをまってまんのや。手荷物は一個にせいって言いたかったんですわ。でもいえませんでしたわ。私も手荷物としてビジネスカバンと着替えの入ったリュックと、ちっちゃいセカンドバックの3個持って乗ってましたんや。
(本編 下につづく)
丹羽慎吾