シンゴ旅日記インド編(86)我輩は牛でんねん ラーマヤナの巻

我輩は牛でんねん ラーマヤナの巻 (2010年10月記)

えっ、今日はインドの大叙事詩のラーマー・ヤナとマハーバー・ラタについて教えて欲しいってですか?

とうとう出ましたな、あんさん。あんな長い話を、そんな簡単にはようお話できませんがな。

けどお話しまっさ。インドと日本の友好のためやもんね。

えっ、そんな大げさなもんやないってですか、すんません。

ラーマー・ヤナ言うたらな、ラーマさんとヨメさんのシータさんの冒険物やし、マラーバー・ラタ言うたら5王子と100王子の戦闘物語でんがな。

ほな、こうしましょ、今日はラーマさんについて我輩が知っとることをお話しまっさ。

今までで、一番長くなりまっせ。よろしおますな?始めまっせ。

ラーマさんがヨメさんのシータさんを魔神のラーヴァナにさらわれて弟の王子と苦労してやっつけて一緒に帰って来ましたちゅう話ですわ。

インド人ならみんな知ってるお話でっせ。えっ、そんで終わりかって。ちゃいまんがな。

その簡単なストーリーの中にな、いろんなモンが入っとるんですわ。

まず、ラーマさんな、何回も言うたと思うけどな、ヴィシュヌちゅう神さんの生まれ変わりなんやで、アバターラやで、化身やで。いろんなものに変身しますんやで。

そんでそのたんびに嫁さんのラクシュミさんも名前を変えて出てきますんや。

でもな、ヴィシュヌさんがクリシュナで生まれた時には奥さんのルクミニーさんになったんやけど、クリシュナさんはなラーダちゅう愛人との話の方が有名なんですわ。ほんで、このラーダもラクシュミさんの化身やちゅう話もありまんのや。めちゃくちゃでんのや。

ラクシュミさんな仏教では吉祥天っていわれたまんのやで。

ヴィシュヌさんは我輩らの崇拝するシヴァさんと人気二分してますんや。ブラフマーさんはもう出番あらへんねん。

日本の相撲でゆうたら、昔のハクホウ時代でんな。

えっ、ハクホウゆうたら一人やないかですって?

ちゃいまんがな、カシワドとタイホウのハクホウ時代でんがな。

そういえばトチワカ時代ちゅうのもありましたな。

その前のフタバヤマのライバルは誰やったんやろ?

すんません、話をもどしますわ。

そのころの話な、シヴァさんとヴィシュヌさんら若い神さんばっか出て来るんでっせ。

きっとインドラさんたちの昔のバラモン教の神さんとヒンズーの神さんとの世代交代ちゅう時代だったんでしゃるな。

ちゅうことはバラモンさんたちバラモン教が仏教やジャイナ教に負けて、落ち目やさかいに、バラモン教をヒンズー教にしてもうて、それを広めるためにネツゾウちゅうか、地場の話の神さんをどんどん取り込んで作って行ったちゅうことですわな。

何度も言いますけど、我輩はシヴァさんファミリーの一員のマツエイでっしゃろ。

そやよって、あんまり、ヴィシュヌさんの話は好きやおまへんのや。

マハーバラタもそうやけどシヴァさんをな、下に見るちゅうか、敵視する場面が出てきまんのや。

まあ、そんでも、よろしいおま。我輩なこれでも十分に大人の牛やさかいに。

ほなら、始めまっせ。トザイ、トーザイ。カチン、カチン、これ拍子木の音でんねん、

これから幕が開くんですわ。

―――ワンス・アポンナ・タイム・イン・インディア。

えっ、何で、英語で始まるのかってでっか。

すんません、さっきまで、シヴァさんの話を仲間の牛たちと英語でしてたんですわ。

その内容でっか?ギリシャ神話とヒンズー神話の比較論ですわ。(アカン、無視されたわ。)

昔々、魔神ラーヴァナが神様たちを苛めている時代のことでございます。

その魔神は10個の頭と20本の腕を持っておりました。

そして神にも悪魔にも殺されないということを一番偉い神様のブラフマーに約束させておりました。

そして大勢の神々が、ヴィシュヌにあの魔神はアカンヤツです、そやから、あの、その、やっつけてチョウダイと頼み行きはったんです。

えっ、なんで最初は標準語で話して、途中から関西弁に変わるんやってですか?

由緒ある物語やから、ちょっと気取って標準語がエエかなと思ったんですけど、あきませんな、やっぱし。我輩なさっき話の途中で舌噛んでもうたんですわ。

ほなら関西弁に戻しますわ。エーと、そして、丁度その頃に、ベンベン。

えっ、何で今度は三味線の音が入るんやてですか。

すんません。これ入れた方が話しやすいかなーと思ったんですわ。

で、丁度その頃にある王さんが世継ぎが欲しいって神さんたちに祈っておったんですねん。

そしたら神さんたちな、こりゃ丁度エエわ、そんならヴィシュヌさんに、あの王さんの子供として生まれ変わってもらって、魔神をやっつけてもらおうちゅうてヴィシュヌさんに頼みはったんです。そしたらすぐヴィシュヌさんがよっしゃいうてOKしなはったんですわ。

そんで、ヴィシュヌさんな、神でもない、悪魔でもない人間として生まれ変わるんでっせ。

あんさん、分かりまっか、この意味?

えっ、魔神は神にも悪魔にも殺されないちゅうことやから、ヴィシュヌが神でも悪魔でもないラーマと名の人間に生まれれば神を殺せるちゅうことになるのやろって。

そうでんがな、あんさん、結構、物分りよろしいおますな、人は見かけによりませんね。

あっ、アカン、つい、いつも思っていることをつい言うてもた、すんません。

魔神ラーヴァナはランカ島ちゅう島に住んでおりました。

あのね、これモロに今のスリ・ランカのことでんがな、エエンやろかスリ・ランカのことを魔神の住む国にしてからが、国際問題にならへんかったんやろか?

けど、スリランカでは魔神は英雄の神さんになっとるちゅうし、ややこしい話やで全く。

日本でいうとキラコウズケノスケとかアケチミツヒデみたいなもんですな。

まあ、エエか、今のスリランカは地域連合の仲間やし。

アカン、話を戻しまっせ、

エーと、ラーマさんのお父さんな、ヨメさんちゅうか王妃さんを3人持っておりました。

エエなあ。あんさんはヨメさん、何人居ますの?

えっ、たった一人だけ。あんさん、貧しいクラスのヒトでっか?

えっ、一人でも大変やて。わかりまんがな。我輩もそうやさかい。

ゴホン、まあエエわ、この話はおいとこ。

そんで,一番目のヨメさんからラーマさんが、2番目からバラタさんが、3番目からラクシュマナさんとシャトル・グナさんが生まれたんですわ。ちゅうことは弟が3人おるちゅうことですねん。

生まれた町はアヨーディアっていうんでっせ。

あのモスク破壊で裁判になっとるところでんがな。

あれな、どうなるのやろな。イスラム教徒とヒンズー教徒の長い戦いになって行くんやろうな。

あかん、この話な説明ばっかで、ちいとも先に進まへんわ。

そやで、ここからちょっと話が飛びまっせ、ラーマさんがな、シータさんと結婚する時のことですわ、ここでな、シヴァさんがヴィシュヌさんよりも弱いちゅう立場で出て来まんのやで。

シヴァさんへの敵視やで敵視。

それな、婿を選ぶ儀式でんがな、シータさんのお父さんな、王様でんがな。

その王家に伝わるシヴァさんの弓が引けた者をシータさんの婿さんにするちゅうことですがな。西洋で、良くある話でんがな。

日本でも毛利の3本の矢の話がるってですか?それ、ちゃうんとちゃいまっか?

あんさん、やっぱり、黙っといて下さい、話を戻しまっせ。

その弓は今まで何人もの王子さんたちが挑戦したけど、誰れも上手くいかんかったんですわ、そやけど、ヴィシュヌさんの生まれかわりのラーマさんがいとも簡単にシヴァさんの弓を引いてな、力余ってシヴァさんの弓をへし折ったちゅうんでんがな。

全くケッタクソ悪い話やな、ホンマに。

そんでラーマさんな、シータさんをヨメさんにしたんでっせ。

ラーマさんの弟の王子3人もな、シータさんとこの関係者と結婚しはったんですわ。

そんで、ここでシータさんの役回りを言いいますとね、本当は人間やのうて、畑を耕しているときに出てきた赤ん坊やねんで。つまり大地の女神の娘ちゅうことなんでっせ。

これな、最後のオチと関係ありますんで一寸覚えておいてくださいね。

そんで今度はラーマさんのお父さんでんがな、王位を長男のラーマさんに譲ろうとしたんやけどな、2番目のヨメさんにな、ある秘密を握られていたんで、そのヨメさんの王子であるバラタさんが王位を継いでね、ラーマさんたちは14年間森の中に追放されることになったんですわ。

でもな、バラタさんはお母さんの考えについてけんちゅうてラーマ兄さん帰って来てチョウダイって言わはったんやけど、ラーマさんは一旦決まったことを“クツがえしてはアカン”ちゅうな、クツ、ちゃうわ、自分のサンダルをバラタさんに渡したんですわ。

そんでバラタさんは父親の王さんが亡くなってから、そのサンダルを王座に置いてな、兄さんが帰ってくるまで待ってますって誓って政治を行ったんですわ。

えっ、バラタのお母さんが握ってた秘密はなんですかって?

何でも王さんな、若い時にそのヨメさんにアブナイところを救われてな、2つの望みを叶えてやるって約束したんやて。

それはさておき、この場面の見所はな、ラーマのお父さんの王さんが若い時に狩をしててな、間違って若い修行者を殺してしもうて、その修行者の父親からな、『あなたも、息子を失った悲しみの中で死んでいくであろう』って呪いを掛けられていたちゅうことですわ。

よう出来た話やな、全く。

えっ、そりゃあ物語やからやってですか?あんさん、想像力のない人でんな。

そんで、ラーマさんたちな、森の中に入って悪魔や猛獣を退治して暮らしとったんやけど、そこに、あの魔神ラーヴァナの妹が通りかかってラーマさんに一目惚れしましたんや。

当然振られまんがな。そんなこと分かってまんがな。

そうしたらな、魔神の妹さんどうしたと思います。

したことは恋愛心理学者の言う通りでんな悪魔でも。

オナゴさんちゅうのは。その憎しみちゅうもんが好きなヒトではなくてライバルの方に向かうんですわ。

あの女がおるからアカンのや、あの女さえ居なくなれば、きっとあの人は私を愛してくれるって思い込むんだそうですわ。今でも新聞記事にありますやろ。

愛人が奥さん殺す話。アカン、アカン、話がまた飛びましたね。

そんで魔神の妹さんな、新聞記事の愛人と同じでシータさんを殺そうとしたんですわ、

でも残念やね。その魔神の妹さんな、ラーマさんの弟のラクシュマナさんに耳と鼻を切られてしもうたんですがな。

そんでお兄ちゃん助けてーちゅうて、スリ・ランカ、ちゃう、ランカ島のお兄さんに助け求めたんですわ。魔神でも妹は可愛いもんですわ。

それに傷モンにされましたもんで怒りシントウでんがな。

あれっ、この魔神は頭が10個あったちゅうさかい、怒りはどの頭へ行くんやろね、10個全部に行くのやろかね。

そんでね、魔神の兄さんな、友達の魔神と空飛ぶ車でラーマのいる森に飛んで行ったんですわ。

そしてシータをさらうためにいろいろ策を練ったんですがな、シータのそばにはラーマの弟のラクシュマナさんが、離れずに守っておりますんで、うまくシータさんをさらえんのですわ。

けどな、魔神の友達がラーマさんと戦ってラーマさんの矢に倒れた時にな、ラーマさんの声を真似して断末魔の叫びを上げたんですわ。

それを聞いた弟のラクシュマナさんな、この時ばかりはシータさんを置いてけぼりにして、声のする方に飛んで行ってしもたんですわ。

その隙に魔神ラーヴァナがな、遊行僧に化けてシータさんを安心させて連れて出して、空飛ぶ車に乗せてさろうてしまったんですわ。

そしてシータさんをランカー島に連れて行ってしてもうたんですわ。

そんで、今度は魔神ラーヴァナがシータさんに一目惚れでんがな。

でもな、シータさんな、当然拒絶ですわな。

魔神な、そうであれば、私への愛が芽生えるまで、いつまでもいつまでも待ちます、ちゅうてな、シータさんを部屋に閉じ込めてしまったんですわ。

この神の兄妹は惚れやすいタイプやね。

この兄妹には弟が一人おりましてなこれが真面目な弟なんでしたんや。

けど、ここではその弟さんの登場する場面がおませんので省略しますわ。

一方、ラーマさんな、エエですか、ここからでっせ、弟のラクシュマナさんと一緒に愛する妻、シータさんを捜し出す旅に出るんですがな。

なんせ空飛ぶ車で、さらわれたさかい手がかりがおませんがな。

でも、行くとこは決まってると思うけどな。

そんでも、いろいろ聞き回ってサルの王さんが住む国を尋ねてみたらと言われてな、サルの国に行くんですわ。

けど、そのサルの国もいろいろ問題があってな、本来の王さんがな、その兄さんから追放されておったんですわ。そんなんばっかやね、その頃の王さんは。

そんでラーマさんたちが追放された王さんの弟サルと一緒に戦ってサル王さんの王位を回復させたんですわ。そんで新しくサル王になった王さんがシーターさん捜しに協力すると言ってね、サルの大群を四方八方に派遣したんですわ。

そのサル軍団の中で知恵も力も一番優れた戦士が、あのハヌマーンさんですわ。

ラーマさんな、ハヌマーンさんに使者の印として自分の指輪を上げたんすわ。

ハヌマーンさん感激してあちこち飛んで回って魔神ラーヴァナがシータさんを空飛ぶ車に乗せてランカ島に飛んでいくちゅう情報を得たんですわ。

そんなん、何回も言いますけど、普通、ランカ島一本に絞りますわな、決まってますがな、その島に。あっちこっち捜すまでもないと思うけどな。

やっぱり、ハヌマーンさんもサルやからやろか、そこまで知恵が回らんかったんやろか。

そんでハヌマーンさんな、一人で島に行こうと決心するんですわ。

その前にハヌマーンさんの役回りを説明しますわ。

ハヌマーンさんはな、風の神と天女の間に出来た子で神通力を持ってて体の大きさを自在に変えたり、空を飛ぶことできまんねん。

それに加えて忠誠心が強いんですわ。

そやよって、インドの人な、ハヌマーンさんのこと大好きですねん。

お寺も沢山あって祀られてまんねん。

そんでハヌマーンさんな、山の頂上からジャンプして空を4日間も飛び続けてランカ島に潜入したんですわ。

でもな、ラーヴァナの息子に捕まえられてしまうんですよ。

でも、良くしたモンでんな、ここでラーヴァナの弟さん登場ですわ、その弟さんな『使者』を『死者』にしてはアカンて言わはったんですわ。

これね我輩の作ったシャレでっせ。

そんでハヌマーンさんな、罰としてシッポに火を付けられて逃がしてもろたんですわ。

そうやってハヌマーンさんはラーマさんの待つサルの国に飛んで帰って行ったんですわ。

そんで、話も飛びますけどハヌマーンさんを助けた魔神の弟さんな、その後にラーマさんと戦う兄さんのやり方は汚いって言うたもんでね、兄さんのラーヴァナに追放されますんや。

けどようしたもんでラーマさんが面倒みてな、ラーヴァナがラーマさんに殺された後にね、ランカ島の王さんになりますんやで。

そんで、ここで、また、話をハヌマーンさんがラーマさんのとこに戻ってきたとこに戻しまっせ。

場面転換やね。

ラーマさんな、ハヌマーンさんの報告を聞いて、よし、問題はランカ島までどうやって渡るかやって言うてな、自分で考えずに、神さんに相談したんですわ。

アカンわ、ラーマさん、自分で考えな。

そんでな、神さんの指導の元にサル軍団が数日でランカ島に渡る橋を作ってしもうたんですわ。

サルが橋を数日で作るんでっせ。

日本で、サルって言うたら秀吉さんでんがな。

言うたらこれは、秀吉の一夜城でんな、墨俣城でんがな。

信長さんが美濃攻めするときに長良川の西側に作った城でんがな。

あんさん、ギフのヒトやで、知ってますやろ?

えっ、自分は美濃って言うても、関市のある中濃やから、大垣市のある西濃はあんまり知らんてですか?ホ~ン。

それに、美濃と言うのは、他に多治見市のある東濃と合わせて三つから成り立って三濃が美濃になったってですか?

濃尾平野はその美濃と尾張の平野のことですってか?

ヘェー、そんであんさん、ノウビやかに育ったんやろね。(あれっ、オッサン、ハンノウがないわ、このシャレ分からんのやろね。まっこと、のびやかでんな)

そんでね、ラーマさんやがな、島に渡って戦ったんですわ、魔神ラーヴァナの息子のインドラジットがね、こいつがまた強いんですわ。それにジットしとらへんのですわ。(グブッ)

あっちゃこっちゃから攻めてくるんですがな。

とうとうラーマさんの弟のラクシュマナさんがこのジットの矢に当たったんですわ。

そんで瀕死の重傷を負ってな、ラクシュマナさんの命を助けるには、ヒマラヤのカイラーサ山に生えている薬草4種類を朝までに持って来んとアカンちゅうことをな、同行してましたサル王の首相で医者でもある熊王が言いましたんや。

そこで、また、ハヌマーンさんの出番でんがな。

ハヌマーンさんな、カイラーサ山まで急いで行ったんやけど、力はあるけどやっぱりまた、〇〇知恵でっしゃろ、どれが薬草が分かりませんねん。

そんで山ごと持って行ったれーって言うてね、山を引っこ抜いて担いで運んだんですって。

そんなアホなって言いたいですけどね。

でもね、そんでもってラクシュマナさんな、命を取り留めたんですわ。

そんでな、ハヌマーンさんな、その後に山を元のところに返しに    行ったんですって。

律儀なサルやね、まったく。

インドではね、ハヌマーンさんが山を持って空を飛ぶ姿のブロマイドに人気がありますんやで。

そこがハヌマーンさんの一番の見せ場でんがな。

そんでラーマ軍と魔神との戦いがな、魔術使ったりして行われるんやけど魔神の弟さんの助けもあってラーマさん最後に勝ちはるんですわ。

めでたし、めでたし、と言いたいんですわ。

でもねラーマさん猜疑心がムクムクって湧いて来たんですわ。

分かりまっか?シータは本当に身が潔白であったんか?

自分を裏切っておらへんかとシータさんの貞操を疑ったんでんな。

何ちゅう人間的なラーマさんやろね。

そんでシータさんもシータさんやで、そんならちゅうてな、薪を積み上げて火をつけてその中に飛び込んだんでっせ。

これって、昔の日本にもありましたやろ、クガタチちゅうて熱い熱い湯の中に手を入れて正しかったらヤケドせえへんちゅうやつでんがな。

そんでシータさん、燃え盛る火の中に入ったんやけど、火神アグニさんに助けられたんですわ。それどころかこのアグニちゅう神さん姿を現してシータさんが貞節であったと言い切ったんですわ。

そこでラーマさん言うたんですわ、自分は愛するシータを信じて疑わなかった。

しかし、皆の前でそれを証明したかったんやって。

そんなん、ラーマさん、卑怯やわ。後からそんなこと言って。

シータさんな、下手すればヤケドか、死んでたかもしれへんのに。まあエエですわ。

そんで一件落着でラーマさんたちな、生まれ故郷のアヨーディアに凱旋帰国して留守を守っていた弟バラタさんにも迎え入れられてな、ラーマさんが王位について世は治まった、めでたし、めでたしと終わりたいんやけど、またまたオチがあるんですわ。

ラーマさんですわ、疑い深い人でんな、このヒト。

王さんになってからな、魔神であるラーヴァナのところに長くおったシータさんが王妃になっとるのはけしからんちゅう不満を国民が持っとるちゅう噂を聞いたんですわ。

ラーマさん、アカンな、このヒト、部下に命じて、シータさんをガンジス河の北の方に連れて行かせて離婚してしもうたんですがな。

その時シータさんは妊娠してましたんやで。

そんでヴァールミーキ聖仙に助けられて、二人の子供産んで育てたんですわ。

時が経って、ラーマさんがお祭りをする時に、シータさんが育てた二人の少年をヴァールミーキ聖仙が町に連れて行って、聖仙が作った『ラーマー・ヤナ』の詩を朗誦させたんですわ。

それを聞いたラーマさんな、二人の少年が自分の子供やちゅうことが分かって、シータさんも呼び寄せて、ごめん、かんにん、許してって謝ったんですわ。

でもな、ラーマさん、またや、情けないわ、これが、シータさんにもう一度身の潔白を証明してくれって頼んだんですわ。

また、シータさんもシータさんやがな、今度もなハイって言いましてな、今度はウケイでんがな。アマテラスとスサノオがアマノガハラでしたやつでんがな。

えっ、知らんてですか?まあ、よろしい、おま。

シータさんな、身が潔白であれば大地の神が受け入れてくれるであろうって宣誓したんですわ。そうしたらな、大地が割れて女神が現れシータさんを抱いてそのまんま地中深く消えてしもうたんですわ。

そんで、まもなくラーマさんも王位を息子に譲って天国に行きはったんですわ。

これで本当に終わりや。

けど、ラーマさん、人間的で疑う心が強うて情けないやろ。

この話ってラーマー・ヤナの作者と言われるヴァールミーキが最後に登場してくるやろ。

オモロイでっしゃろ。

でもな、このラーマ・ヤナな、インドばかりやのうてアジアに広がったんでっせ。

タイ、マレーシア、インドネシア。

それにサル、キジ、イヌをお供にした日本のモモタローの話やないかとも言われておるんでっせ。

インドな、もうすぐデワリちゅう正月みたいな祭りが来まんがな。

これなランカ島から凱旋したラーマさんとシータさんを迎える祭りでっせ。

デワリってな、サンスクリット語で灯明の列ちゅう意味でんがな。

シータさんな、ラクシュミーちゅう冨と幸運の神さんの化身でっしゃろ。

デワリの時にな、みんなで家の中にランプ皿に火を点けて隅々まで明るうしてラクシュミーさんに入ってもらって私の家にも冨と幸運を授けてチョウダイちゅう祭りでんねん。

ラクシュミーさんのブロマイドにガネーシャさんを真ん中にしてサラスヴァティさんが右側の3人を一枚に描いた『デワリ・ラクシュミー』ちゅうモンもありまっせ。

これな、冨と幸運と知恵の三位一体が欲しいちゅうヒトさんの欲望でっしゃろな。

これで終わりでんがな、ラーマー・ヤナ物語。

えっ、シヴァさんにとっては、どーもやな物語りでしたなってですか?

あんさんも、結構冗談いいますなあ。

ほな、暗くなってしまう前に失礼しまっさ。

サイナラ、サイナラ、サイナラ。

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