オランダ点描(18)外国人

オランダで住む外国人は、まず滞在ビザが必要。そのうえで外国人登録というものを外事警察でする必要があります。そういうややこしい手続きについてのお話ではありません。どこの国でも外国人の扱いは程度の差こそあれややこしいものと相場が決まっています。私たち家族も含め、現在オランダには大勢の外国人が住んでいるはずです。

そこで、誰が自国人で誰が外国人かをどうやって見分けるのか?果たしてそれは可能か?という素朴な疑問がありますが、オランダ人はどのように答えるのでしょう。彼らは、普段はほとんど外国人を区別して生活をしていないということでしょう。外国人に対して、日本人ほど注意を払って、気にしていないということかもしれません。普段は区別する必然性を感じていないということでもありましょう。

まず、オランダ人という単一民族がある訳でもなく、典型的な多民族国家なのです。つまり、白色人種・黒色人種・黄色人種(この区別の仕方はもう古いのかもしれません)で表せるすべての人種というのが雑居する形になっています。もともとは、ゲルマン系の白人だったはずですが、海外進出して植民地を増やし、アジア系・中米アフリカ系の国民を増やし、さらに移民なども受け入れてきた結果今のような多民族国家になったわけです。

過去には、同じオランダ人の間でも肌の色や出自での差別というのはあったと思いますが、今では少なくとも私たち外国人がわかるような露骨な差別はあまり見られないように思います。多民族国家のオランダ人の中に、たとえどんな肌の色を持った外国人が紛れていても外観だけでは全くわからないということ。

パスポートとかの身分証明書を提示しない限り、オランダ人自身が肌の色とか目の色とかの外観からは自国人か外国人かの識別は出来ないわけです。したがって、我々のような黄色人種が町を歩いていたり、隣で日常生活をしていても、外国人としての扱いを受けることはまずありません。もちろん、こちらも近所の人には仕事で日本から来ましたと挨拶するので、その場合はむしろオランダの生活に慣れない外国人として扱ってくれますが、買い物に行った時などは、オランダ人と同じ扱いで最初からオランダ語でベラベラやられます。

そこで、日本人としての素朴な疑問ですが、多民族国家の国同士が戦争にでもなったりしたら、お互いどのように敵味方を区別して戦うのでしょうか?制服を着ているから区別が出来ても、制服を脱いでしまえばどうなるの?言葉にしても、流暢にお互いの国の言葉もしゃべる人間はいくらでもいる。

このことは、昔ブラジルに出張した時も感じたことです。彼らの軍隊も白・黄・黒、さらにその中間色の混成部隊でした。その時未解決の疑問が、今またオランダで生活をしていて顔を出しました。

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