オランダ点描(3)風車

オランダといえば、風車という程に有名ですが、現在オランダ中に一体何基の風車が残っているのか残念ながら私は正確な数を知りません。うーん、当て推量ですがざっと1000基といったところでしょうかね。

一口に風車といってもその形・大きさ・構造・用途はさまざま。今もなお昔ながらに粉を挽いたり、油を搾ったり、低地の水を汲み上げ排水していたりと現役で立派に動き続けているもの、もはや実際の使用には耐えず観光のためだけに維持・保存されているものいろいろです。最近は、北海に面した風の強い場所に大きな飛行機のプロペラのような3枚羽根の風力発電機(味気ない)が何基も回っているのが見られるようになりましたが、それまではまさに風車から自然の再生可能エネルギーを得ていたのです。

郊外に出て、どこまでも平坦に広がる田園風景の一角に小さな風車の姿を見つけると、私は日本人なのになぜか懐かしい気持ちになり心が和みます。

しかし、実物をすぐ目の当たりに見るとその印象はまるで違ってきます。長い年月で少しくたびれたところはあるものの、前に向かって力強く今にも動きだそうとしている巨大な機械、というよりも、生き物を感じさせられます。4枚ある羽根も、その一枚の羽根自体が想像以上におおきく、畳を何枚も敷き詰められるくらいの大きさ。もちろん、カンバス地の布を4枚の羽根全面に広げて回りだすと、大きい音は言うに及ばず、そのスピード・迫力に圧倒され近寄るのが怖くなるほどです。

もし、すごい勢いで回る羽根に触れようものなら重傷を負うこと間違いなしで、命も補償の限りではありません。風車は、羽根が取り付けられている頭の部分が360度回転するようにできており、常に風をとらえることができ、しかも風の強さによって布の張り方を変えて(羽根の面積を変える)羽根の回転数を調整できるようになっています。

一旦、風車の土台部分の狭い入り口から一歩中に入ると、さらにまた趣をがらりと変えます。すべての居住部分は小さめの寸法で作られていて、船の中のキャビンを連想させます。ともかく、我が物顔に場所を占める機械部分(中心部に、木製の巨大な歯車と回転軸がある)に遠慮するかのように効率よく空間を利用して設計されています。ちょっと驚かされるのは、寝室に組み込まれているベッドの寸法の小さいこと。今街を闊歩しているオランダ人はいずれ劣らず大男・大女なのにと、不思議な気がしました。

でも、古い風車を維持補修することを条件に、風車守りとして住みたいという人が多いと聞きます。

宮川直遠


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