シンガポール(Singapore)は赤道直下の国のため1年中夏の気候で日本のように四季がありません。熱帯気候ばかりが強調されるものの、日本人駐在員にとって、治安、医療、教育、食事など家族生活全般に亘って他の駐在地と比べると非常に恵まれたところで誰もが希望する駐在地でした。当時、世界に数ある駐在地の中で、シドニー(Sydney)、サンフランシスコ(San Francisco)と並んで”世界の駐在地ベスト3″=”3S“のひとつと言われていました。

人が生活する上で大切なこととして「衣食住」とよく言われますが、その前にもっと大切なことがあります。まず、治安の良さは日本人駐在員にとって最も大事な要素と言えます。世界には、政治や宗教、民族など歴史的に長きにわたって治安の悪い国が依然として少なくなく、そのような国に駐在することは仕事とはいえ大変なリスクを伴います。従って、治安の問題があるような国には家族同伴ではなく単身で赴任することが多いです。

次に、医療事情も重要な要素になります。健康な人でもいつどこで病気なるかもしれません。まして外国には日本では考えられないような病に罹ることもあるので注意が必要です。怪我や病気をしたときに信頼できる病院があれば一応安心できますが、世界にはまだまだ医療事情に問題がある国がたくさんあります。当時、インドネシアの駐在員が健康診断のためにシンガポールに来ていたことがありました。

教育面でいうと、当時、シンガポールには世界で最大の日本人学校がありました。日本人学校小学部及び中学部では、文部科学省の学習指導要領に基づいた教育を受けることができ大変恵まれていました。多くの海外駐在地には日本人学校のないところも多く苦労された方もいると聞いています。当時は、日本人幼稚園と高校はありませんでしたが、私が帰国した後に、幼稚園も高校もできたようで更に環境はよくなっています。

さて、「衣」はシンガポールではほとんど心配は要りません。極端に言うとTシャツと短パンがあれば生活できます。むしろ、いろいろなファッションを楽しむということが出来ないことを嘆く日本人女性がいるくらいです。我々も、秋から冬にかけてセーターがいらないことにある種の寂しさを感じたこともあります。

「食」についても、シンガポールは文句のつけようがありません。現地の料理で問題ない人は非常に安くあげられますし、少々高いのを我慢すれば、世界各地の料理が楽しめる環境にあります。日本から大手デパートや一流料理店も進出しており日本料理も十分楽しむことができます。むしろ、日本ではあまり行かない(行けない?)ような高級料理店にも(仕方なく)家族で出かけることもありました。

このように、「世界の駐在地ベストスリー(3”S”)」といわれたシンガポールに駐在できたことは非常に幸運であったと思っています。

(蓬城 新)

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