フランスあれこれ27~フランス人は日曜大工がお好き(2)

フランス語で日曜大工はブリコラージュ(bricolage)と言いますが、字引を引くと「古いものの復活」と言う意味と受け取れます。
今から50年位前の話です。
ある日曜日、朝から下のガレージで人声と共に金属音が聞こえました。何だろうと思って下を覗いてみました。駐車場の一角で車のエンジン部分ボンネットと後部のトランクを大きく開けて何か作業をしていました。当初は車のトラブルだろうと思っていましたがいつまでたっても音が止まりません。暫くして再度眺めてビックリ、エンジン部分を完全解体してその部品を整然と並べています。
私は外出の際挨拶を兼ねて何の作業ですかと尋ねたのですがエンジンの分解掃除で、相棒は私の息子ですと紹介されました。まだ高校生くらいの感じでした。それにしても親子でエンジンの分解掃除とは私には想像も出来ないことでした。数時間後帰宅した時もまだ同じような状態で四苦八苦しているのではないかと想像していました。
やがて日が傾きかけ夕刻が近づきます。私は聊か心配になってきました。このまま夜になるととても作業は難しくなります。何度か窓を開けて上から覗きますが依然として部品が並んでいます。他人事ながら心配が募ります。
丁度日が沈んで辺りが真っ暗になった頃「ガリガリ・・ブルルン~~!」正しくエンジンの音です。ヤレヤレ、良かった~!私の気分もこれで一安心でした。
・・・・・・・・・
今の時代になって自動車は電子部品の集積のようなもの、とても素人の手に負えるものではありません。ちょっと私自身の昔の思い出話を付記します。
(1) フランスで最初に買った車はイギリス・フォードの中古のアングリア。値段も安いぼろ車でした。郊外での話ですが、エンジンが突然かからなくなりました。何度やり直しても、少し時間をおいてもかかりません。途方に暮れていた時、たまたま通りがかった人が車を止めて相談に乗ってくれました。自分の車からドライバーを持ち出してエンジンの部分と近くの配線を繋いで、火花を散らせながらバリバリと言う音と共にエンジンを再起動してくれました。その上丁寧にそのやり方を教えてくれた上使用したドライバーを私にくれました。何のお礼も出来ず感謝感激でした。その後ガレージに立ち寄って相談したのですが、外国車でしかも大変古い。部品を取り寄せて交換するのもどうかと思う。どうしてもと言うなら家の近くの修理屋に相談することを勧めるという事でした。
(2) 後日車を買い替えて、今度は新車で郊外を旅行しました。この時も自分のミスで車のキーをトランクに置いたままで閉めてしまいました。本当に困りましたが通りかかる人が念のためと色々なキーを差し込んだのですが、結局は両手を挙げてどうしようもないというジェスチャーでした。そんな折通りかかった人が最後の手段だと言って車を持ち上げたりしながら車を大きく回転するように揺さぶりました。何度目かにガチャ!と音がしてトランクが開きました。彼曰く「私の経験で知ったトリックです」と。

 

これはイギリス・フォードのアングリア1965年モデル。ネット情報では173万円で売却済みと出ていました。

 

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です