追憶のオランダ(74)バカンスにはトレーラーハウスを引いて

オランダの夏休みは、年が改まると同時に準備が始まります。家族で、その年の夏休みの計画を練り始めるというのです。今年のバカンスはいつからいつまで、そしてどこへ行こうと、家族中で話し合って家族全員の休みを調整しながら計画を立てるのです。とくに、子供がいる家庭ではそれが毎年の恒例の行事となっているようです。実際の休暇を取る時期は、6月から9月ころまでの間が多いのですが、私の勤めていた会社でもその期間に大体連続で3週間くらい休む同僚が多かったように記憶しています。日本では考えられないくらい、しっかりと休みを取ります。というより、休みを取るために働いているという感覚です。休みを取ると、その間その人が担当している仕事は一時停滞します。よほどの重要案件でもなければ、周りの同僚もピンチヒッターで仕事を肩代わりするということも殆どありません。それを知らずに取引先からは電話もかかってきますが、今休みを取っていていつまで不在だと伝えれば、大体の人は納得してくれます。日本だと、こうはいきません、代わりに誰か変わってやってくれと大騒ぎになります。しかし、よく考えれば、社会全体がこの時期には誰しも長期の休暇を取るものだという理解があれば、自分自身も同じことをやるわけで、そこはお互い様ということなのです。
そして、オランダ人はこの家族と一緒の長期休暇には多くの人が車にトレーラーハウスを付けて引っ張っていきます。これならどこへ行こうが、宿賃はかかりません。特にバカンスのシーズンともなるとホテルの予約も大変だろうし、レストランでの食事を考えると費用はバカにはなりません。そこへ行くとトレーラーハウスは泊まるのも、食事をするのも自由自在でとても経済的です。そんなわけで、この時期には観光地などではオランダナンバーを付けたトレーラーハウスがあちこちで見られます。また、オランダの個人の乗用車をみると、多くの車にはトレーラーハウスを固定するための大きなフックが取り付けられています。しかし、少し残念ですが、このトレーラーハウスを引っ張ている車は行く先々ではあまり評判がよろしくありません。第一、道路を走るのにあまりスピードが出せず、ほかの車の邪魔?になることもしばしば。また、観光地では、ホテル代をはじめあまり(ほとんど)お金を落とさない。そこで口の悪い連中は、金を落とさないケチのオランダ人が来たということになります。経済観念がしっかりしているが故のトレーラーハウス旅行なのですが、視点が変われば、単なるケチにしかみえないものでしょうか。あなたならどうします?

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