追憶のオランダ(81)KLMからの手紙

読者の皆様は、以前に書いたイースターホリデーの話を覚えておられますか?
これからがその「おまけの話」です。
私どもの初めてのイースターホリデーは、最後の段階で飛行機に危うく乗り損ないそうになるドタバタ劇がついていましたが無事(?)終わりました。実際問題、結果的には私ども家族は予定通りの便で帰国できたわけですが、その最終場面たるや楽しい休暇とは程遠いものであったことも事実でした。そこで、私としては一言だけは言っておきたいと、旅行代理店経由でKLM宛に簡単な手紙を書きました。決してクレームをしたわけではなく、事実だけ伝えたかったのです。要旨は、初めてのイースターの休暇は楽しんだものの、最後の段階でのオーバーブック騒ぎのためにせっかくの楽しい気分が一挙に吹き飛んでしまったことが残念だったと。
私自身は、これでこの件は一応終わったと、思っていました。
しかし、それから1か月くらいして、全く予期せぬことにKLMから手紙で返事が来たのです。そこには、せっかくの楽しい旅行を台無しにして申し訳ないという詫びる文章、から始まり、オーバーブックに関するIATA(国際航空運送協会)の規則とかいろいろ理由の説明などが丁寧に書かれていました。驚いたことに、3ページにわたる手紙の中に何度謝罪の言葉が繰り返されていたことでしょう。大体、西欧社会ではそう簡単に謝罪の言葉を使わず、事故の正当性のみを主張するものだとばかり思っていたので、それは意外なことでした。そして最後に、次回の世界のどの地域への旅行の場合でも、窓口でこの手紙を提示してくだされば家族全員のグレードアップを約束します、ということが書かれていたのです。
まさか、私の手紙にKLMからいちいち返事が来るとも思っていないし、さらにグレードアップを約束などとは信じられませんでした。しかし、それから約一年後一時帰国したときにその手紙の効果が窓口で確認でき、改めて驚いたのでした。買っていたエコノミー切符が窓口でビジネスクラスに!この約束は本当だったのです。
小市民の心をくすぐるKLM のサービスなのかどうか私は知りませんが、このようにIATAの規則で許される範囲でのオーバーブックをすることが航空会社の経営の効率化に役立っていて、他の航空会社もやっていることなんでしょうか。この手紙は、記念にと残しておいていたのですが、どこかに紛れてしまって今はちょっと見当たりません。

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