オランダ点描(7)窓

限られた乏しい経験から敢えて大胆な事を言わせて頂くとすれば、ヨーロッパの一般的な住宅を比べた時、オランダの窓が一番大きいのではないでしょうか。窓の大きさの違いには、それなりの理由があると思われます。

北の国では冬の寒さを防ぐ意味で窓は割と小さめになっているようです。それが南へ行くに連れ大きくなり、また地中海に面した南欧では昼間の暑さから逃れるため窓は小さく鎧戸までついています。その中間に位置する(少し北寄りですが)オランダは、ヨーロッパ諸国の中で年間の日照時間の一番短い国でもあり、少ない太陽光を少しでも多く取り入れようと窓をできるだけ大きくしているように思えます。

また、住宅地ではどの家も大きな窓をレースのカーテンでさりげなく飾り、さらに窓際には観葉植物か季節の花などを置き、時にはちょっとした置物を置いてある家がほとんどです。通りがかりに、見るとはなしに(実は後学のためしっかりと)見ると、家の中はキチンと片付けられ「さあ、どうです。なかなかきれいなリビングでしょう。」と言わんばかり。昼間であれば、部屋の中は薄暗く、夫婦共働きの家庭が多いこともありあまり人気がありません。ここでいかにも人間が生活していますと言うという生活感は少し希薄ではありますが、確かに整然としていて目にするものにとっては大変気持ちのいいものです。

たまに住人が居合わせ目が合ってしまうこともありますが、その時は中からにこやかに挨拶してくれます。日本人は窓を通して外から通りすがりの人に家の中を見られるのをあまり好まないようで、この大きな窓をすっかり開け放し中が丸見えのオランダスタイルには多少の抵抗があるかもしれませんが、一度如何でしょう?

私が最初に住んだ家は築20年位のいわゆるローハウスという5-6軒連らなった2階建て(屋根裏部屋を入れて3階)棟割長屋でしたが、表側・裏側とに2枚ずつ、合計4枚の大きなガラス窓がありました。

この窓は2mx2.5mの一枚ものの2重ガラスで開閉は出来ません。開閉はその横についている小さな窓のみ。この大きな窓はまた厄介で、簡単に磨けません、一階部分なら脚立を使えば何とか、でも二階部分は長い梯子か足場がないと素人では無理。

そこで、窓拭きを専門にしている者がいて、近辺の住人は大体2ケ月に1度頼んで拭いてもらいます。さらに、割れるとかなり費用がかさみ大変なので、大抵みんな保険に入っています。窓拭き賃・ガラス保険料とも大した額ではないですが、日本では考えられないオランダならではのものです。

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