ギリシャ神話「やぎ座」

「やぎ座」の絵は、山羊と魚の体を併せ持つ姿をしています。これは、牧畜の神パンが化け損ねた姿だと言われています。第十回は、「やぎ座」です。
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パンは、神ヘルメスと精霊の母との間に生まれました。その姿は、上半身が人間で下半身が山羊という、奇怪なものでした。母は、「怪物を産んでしまった」と嘆きパンを嫌っていました。しかし、ヘルメスはパンを神々が住む神殿に連れて行き、ゼウスたちに紹介しました。神々は、パンの姿を気に入り、神々の一員として認められました。

その後パンは、牧畜の神となって、山羊や羊や牧人を守りながら、笛を吹いたり昼寝をしたりと陽気に暮らしました。

ある時、神々がナイル川のほとりに集まって宴を催しました。パンは得意の笛を吹いて宴を盛り上げていました。

そのさなか、突然、怪物テュポンが現れました。上半身が巨人で、下半身が大蛇、両肩から百匹の蛇の頭をはやしている恐ろしいテュポンは、神々を片っ端から襲いました。不意をつかれた神々はちりじりにその場から逃げました。パンは川に逃げるために魚に変身したのですが、慌てたために、うまく化けたのは下半身だけで、上半身は山羊でした。

テュポンが去った後、化けそこないのパンを見て、神々は大いに笑いました。あまりのおかしさから、ゼウスは、パンのその姿を天に上げて「やぎ座」をつくりました。

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