ギリシャ神話「いて座」

ギリシャ神話には、けものと人間の姿を併せ持つ、さまざまな種族が登城します。「いて座」の星座に描かれえているのは、上半身が人間で下半身が馬、弓矢を得意とするケンタウルス族のケイロンという賢者です。第九回は、「いて座」です。

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乱暴者が多いケンタウロス族の中で、ケイロンだけはおだやかな性格で学問を好みました。彼は、ゼウスの父クロノスの血をひいていて神々とも親交が深く、神アポロンからは医術や芸術を、女神アルテミスからは狩猟を学びました。

すぐれた知識を持ち、武術にも秀でた彼は「賢者」と呼ばれて尊敬され、ヘラクレスやアキレスなどの英雄を弟子にとって教育を施しました。

ある日、酒に酔ったヘラクレスがケンタウルス族と喧嘩をしました。ヘラクレスが怒りに任せてヒュドラの猛毒を塗った矢を放つと、師であるケイロンの足に刺さってしまいました。我に返ったヘラクレスが泣きながら詫びると、ケイロンはヘラクレスのほほをそっと撫でてその罪を許しました。

しかし、ヒュドラの猛毒は、触れた者を死ぬまで苦しめるものでした。神の血をひくケイロンは、不死身のため死ぬこともできずにひたすら悶え苦しみました。その姿を見かねたゼウスは、ケイロンから不死性を取り除いて落命させ、苦痛から解放しました。さらにゼウスは、その死を悼んでケイロンを天に上げ「いて座」をつくりました。

 

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