シンゴ旅日記インド編19 ガネーシャの巻

お酒のつまみ その21 ガネーシャの巻

インドの神様のガネーシャをご存知でしょうか?

象の顔(頭?)を持つ神様です。ヒンドゥー教の三大神の一人のシヴァ神の息子です。

姿はお腹で出た中年おじさん風で、布袋様のようです。大食でも有名です。

また彼の乗り物(ヴァ-ハナ)はネズミです。

出生はこうです。

シヴァ神が留守の間に彼の妃のパールヴァティが彼女自身の召使がいないので自分の体の垢から人形を作り息を吹き込み、人間にしました。

そして自分は水浴をするからと門前で見張りをするように命じました。

その時夫のシヴァ神が帰って来ました。パールバティの息子はそれを父親とは知らず、家に入るのを阻止しました。

そして二人は戦いました。激しい戦いの末にパールヴァティの息子の首を切り落としてしまいました。

それを知ったパールヴァティは夫を激怒し、神々をも困らせました。神々は彼女の息子を生き返らせる約束をしました。

そのためシヴァ神が部下に北へ向かって進み最初に出会った生物の首を持ってくるように命じました。

部下が見つけたのは片方の牙が折れた象でした。そして象頭神として生き返った息子はシヴァ神の長男として大切な地位に着いたのです。

このガネーシャは私の住むプネのあるマハーラーシュトラ州のほかオリッサ州、ケーララ州など東インド、南インドで盛んに崇拝されています。

プネにはガネーシャを祀る8寺参りのコースもあります。

ある日、いつものようにスタッフと昼食をとると、皆の弁当がいつもと違うのです。

いつもはチャパティ(具のないお好み焼き)と一菜なのに、その日は豆のような、蒸かしたお米のような粒々のものだけでした(写真右端)。

キチャディという食べ物だそうです。

どうしたのと聞くと、今日は断食の日だというのです。

断食?イスラム教徒でなく、ヒンドゥー教徒が?

理由を聞くとこうです。

彼らはガネーシャを崇拝しており、今日はヒンドゥー暦(陰暦)の四日目で月の形がガネーシャの牙の形と同じ(三日月?)でその日には断食をするとのことです。

朝はお茶だけ、昼はその粒粒を食べて夜は普通の食事をするとのことです。その粒粒は太陽に当たらない部分、つまり地下にある部分なのです。

ガネーシャと月の関係は次のとおりです。

ある日お腹一杯食事したガネーシャがネズミに乗って帰宅途中で蛇に出会いました。蛇に驚いたネズミがガネーシャを振り落としてしまいました。

そうするとガネーシャのお腹が裂けて料理があふれ出てしまいました。ガネーシャはそれを拾い集めお腹に入れて蛇をベルト代わりにしてお腹をしばりました。

そして、またネズミに乗ろうとしました。するとどこからは笑い声がするのです。

それは一部始終を見ていたお月様だったのです。ガネーシャは右の牙を折ると月をめがけて投げつけ、誰もお前を見なくなるだろうと呪いを掛けました。

それから月は不吉な存在になり、月を見るものは不幸が起きるので誰も月を見なくなりました。

すると月は姿を隠し夜が真っ暗になってしまいました。

困った神々はガネーシャを説得して月に光を回復したり、失ったりするように変更させたのです。

これが月の満ち欠けする理由になっています。

私のスタッフによるとプネでは毎年9月に大きなガネーシャの祭りがあるそうです。その時は州外からも多くの人が来て街が一杯になるようです。また何千ものガネーシャの像が作られ、あちこちに飾られるとのことです。

会社にもその寄付の依頼があちこちから来るようです。

ガネーシャは『富と繁栄の神』『知恵と学問の神』『障害を除去する神』といわれます。

商人階級に大きな人気があるようです。

そういえばあるお客様の事務所の一角は大小さまざまなガネーシャで一杯でした。

断食についての後日談です。

他の州の人曰く、プネの人は今日はこれの断食だ、明日はあれの断食だと言って、力が出ないので仕事しないという理由付けしているのだと悪口言っていました。

ガネーシャは密教とともに日本に入り、『聖天』あるいは『歓喜天』と呼ばれています。正式には『大聖歓喜天』と言います。聖典を祭った最大のお寺は奈良・生駒さんの宝山寺です。日本の聖天振興はきわめて秘教的な色彩が強く、象頭の男女神が抱き合った姿の独特の双身像を礼拝します。ほとんどの寺ではその神像を秘仏として公開していません。

聖天の祭式にはごま油を掛ける欲油供があったりしてインド的な要素が残っています。

双身像は日本では珍しいのですがインドでは性力信仰(シャクティズム)の隆盛により配偶像を伴う神像は沢山あります。

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