英国探訪6 エリザベス1世について(その1)

エリザベス1世は国王ヘンリー8世の次女で、母はアン・ブーリンです。アン・ブーリンは彼女を生んだ後、姦通罪で処刑されました。

幾多の試練を経てイングランドとアイルランドの女王の座につきます。在位期間が1558年 - 1603年で、日本でちょうど関ヶ原の戦いの前後に当たります。

彼女を描いた映画「エリザベス」(原題 Elizabeth――1998年イギリス映画。エリザベス1世の前半生の人生を描いた歴史映画。第71回アカデミー賞では作品賞を始めとする7部門にノミネートされ、メイクアップ賞を受賞。)を観ると、かなりフィクションを含んではいますが、当時の英国の状況や王位を巡っての人々の葛藤とエリザベスの苦悩がよく理解できます。

ただし時代背景や登場人物を整理しておかないと理解しにくいのも事実です。そこで3回に分けて、映画のポイントをまとめてみたいと思います。

■まず映画を観る上で予備知識として役立つ事項を箇条書きで整理してみます。

  • 旧教(カソリック)と新教の対立が激しいイングランドが舞台です。
  • 英国国教会(新教のひとつ)成立の経緯には、ヘンリー8世の最初の妻との離婚が絡んでいます。
  • 彼は最初の妻、キャサリンとの間にメアリ王女(後のメアリ1世)をもうけますが夫婦仲が冷却していました。
  • そこでキャサリンと離婚して、キャサリンの侍女で地方貴族の娘、アン・ブーリンと再婚しようと画策したのです。
  • 1533年、ローマ教皇の許可を得られないままキャサリンとの結婚を無効にして、アンと結婚します。その後、生まれたのがエリザベスでした。
  • この結婚を不当として、教皇はヘンリー8世を破門し、ローマ教皇と英王室の分裂が決定的になりました。
  • ヘンリー8世は、イングランドはローマ教皇庁の管轄に属さず、従って彼の婚姻問題も認可の必要がないことを宣言しました。
  • そのためローマ教皇庁から独立した「英国国教会」を設立し、ヘンリー8世が国教会の長となります。
  • ヘンリー8世の没後、3番目の妻との子、エドワード6世が即位しましたが15歳で病没しました。
  • その後、最初の妻との間の長女、メアリが、イングランド初の女王、メアリ1世として即位します。
  • メアリは熱心なカソリック信者で、王位に就くと直ちに英国国教会を廃し、カソリックの復活を宣言しました。
  • メアリ1世は在位中にプロテスタント弾圧の恐怖政治を行い、300人近い新教徒たちを火あぶりの刑に処しました。そのため、ブラッディ(血まみれの)メアリと呼ばれた。これが、有名なカクテルの名前の由来です。
(その2に続く)
風戸 俊城

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