ヤタガラスの「教えてワイン!」19~フィロキセラ

19世紀、ブドウの三大病虫害を襲った。ベト病とうどんこ病はカビによる病気だったため、カビを予防する薬剤が開発されて、事態は改善されていった。しかし、フィロキセラは土の中のブドウの根につく害虫であったため、直接薬剤をかけることができず、なかなか有効な対策が打てなかった。

として、ヨーロッパではベト病、うどんこ病、フィロキセラがブドウ畑

1860年代のフランスからはじまったフィロキセラの被害は、フランス中のブドウ畑を壊滅的な状態に陥れ、さらにはイタリアやスペインをはじめ世界各地を襲った恐ろしい害虫だった。フィロキセラとは、ぶどうの木の根を食べ、ぶどうの木を枯らしてしまう害虫で、当時、世界中のぶどうの産地に甚大な被害をもたらした。後に、このフィロキセラの影響を受けずに済んだチリへ向けて、ヨーローパの有名醸造家が進出するきっかけとなった。

それまで、ヨーロッパで栽培されていた葡萄はヴィティス・ヴィニフェラという中央アジアに原産する種類のもので、これはワイン用に適した品種であった。研究熱心な葡萄栽培者が、新大陸(アメリカ大陸)に自生する新たな品種の葡萄を研究用に輸入したが、その時、フィロキセラも一緒に持ち込んでしまった。当時、ヨーロッパにはこの害虫は全くいなく免疫がなかったため、思いもよらぬ大被害を受けることになってしまったのだ。

そんな中、唯一、チリだけがその被害を免れた。この事件で職を失ったフランスの醸造家たちは新天地を求めてチリへと渡ったため、その結果として高度な技術をもたらすこととなったのである。その後、ヨーロッパ諸国は、今度は、フィロキセラに抵抗性を持つアメリカの原生種を再度輸入し、それを台木にしてぶどうの木を接木しなんとか全滅を免れた。現在、フィロキセラ以前のぶどうの木がそのまま育っているのは、チリだけだといわれている。

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