ヤタガラスの「教えてワイン!」27~ヴィンテージ

ヴィンテージ」という言葉の本来の意味はぶどうの収穫。そこから転じて、ワインの原料となったぶどうが収穫された年のことをいいます。ただ、ときによって違った意味で使われるので注意が必要です。誤解をしないようにその違いについて以下に説明します。

ぶどうは漿果と呼ばれる水分を多く含んだ果物のため遠くへ輸送できません。したがって、ワイン産地はぶどうの栽培地になり、それぞれの産地の気候に合ったぶどうが栽培されます。

例えばボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローが、ブルゴーニュではピノ・ノワールやシャルドネの品種が適しています。さらに、同じ産地であっても、年ごとの気候の変化によりぶどうの品質が異なり、出来上がるワインにも品質の差が出てきます。このため一般に、ワインにはぶどうの収穫年がラベルに表示されます。この収穫年を「ヴィンテージ」(フランス語でミレジム)といいます。

ヴィンテージの差は、気候的に恵まれた産地より気候の厳しい産地のほうが大きく、ワインの年ごとの品質の差が大きくなります。ヴィンテージ・ワインとは出来の良い年のワインをいうのであって、ラベルに年号が入っているすべてのワインをいうのではありません。出来の良いワインを選ぶには、ぶどうのヴィンテージ(収穫年)から良い年を読み取る必要があり、そのために、ヴィンテージ・チャートと呼ばれるワイン評価表があります。

また、古く熟したワインを「ヴィンテージ物」と呼びますが、これもワインは古ければ古いほど良いということではありません。出来の悪い収穫年のワインは速く熟成しますが、長熟しないワインです。このようなワインは、古い年号であれば逆に品質が劣化しています。

一方、出来の良い収穫年のワインは熟成は遅いですが、頂点に達した品質が長く持続します。すなわち、「ヴィンテージ物」とは、出来の良い収穫年(ヴィンテージ)のワインが20年、30年も熟成が持続しているワインのことを言っています。

過去において、特に秀逸な年といわれている年は、1921年、1928年、1929年、1945年、1947年、1949年、1955年、1959年、1961年があります。

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