オランダ点描(14)オランダ語

「オランダ語は喋れますか?」とよく聞かれますが、残念ながら私は「いいえ。」と答えざるを得ません。その後で、「オランダ語は発音も大変難しくて、結局ほとんど努力せずに諦めました。」と付け加えることにしています。まあ、2-3年して喋れなかったのでその先あまり上達は期待できそうにないという、早めの自己診断でした。事実その通りで、4年近く経った今で、いくつかの挨拶程度の表現と単語をせいぜい200-300語(もっとあるかな?)覚えている程度で、これでは知っている単語をいくらつなげても一般の大人とオランダ語での会話はなかなか成立しません。

日常、オランダ人にオランダ語で話しかけられることは当たり前ですが、その時もこちらが少し躊躇するそぶりを見せたら、こいつは喋れないんだなと気を利かせて、ほとんどの人たちがすぐに英語に切り替えてくれます。また、イギリス人には悪いが、私にはイギリス人の英語よりも分かりやすい英語なのです。そんなことも手伝って、私のオランダ語不勉強はますます本物になってしまっています。オランダで住んでいながら、オランダの人たちには大変申し訳なく感じています。

オランダ語は文字で書かれている限りでは(オランダ語を喋れない私が偉そうに言うことではないですが)、ドイツ語と英語の中間のようで、どちらにも共通の単語も使われていて、何かわかりそうな気だけはするのですが、お役所とかの正式の書類はとても歯が立ちません。当然です。その都度、これ何の書類かと、同僚に尋ねます。

昔の日本人がどのようにしてオランダ語をマスターしたのか?ほんとうに通訳として喋れていたのか?多分喋れる人はごく少なく、むしろ書き言葉として文章を解釈していたのではないかと勝手に想像しています。その数少ない状況証拠として私が考えるのは、「化学」という意味のオランダ語にあります。日本にはのちに「化学」という言葉が定着する前まで、オランダ語のCHEMIEという言葉を音訳(?)して「舎密」という字を使って、「セイミ」と読んでいた。しかし、オランダ語の実際の発音はどのように聞いてもカタカナで書くと「ヘミー」であって、「セイミ」というように頭が「S」の音から始まる言葉ではありません。やはり、綴りに惑わされて読んで音にした漢字を当てはめたように思えてなりません。やはり、日本人は会話よりも読み書きからという戦後の英語教育がいまだに抱えている問題を昔から持っていたのでしょうか。

 

 

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