笑説「ハイムのひろば」16~美術館創設

美術館創設

2018年4月のリニューアル・オープンから半年ほど経った頃、西野は後半の企画について考えを巡らしていた。オープン記念で「フォトコンテスト」「野々村氏講演会」「インスタグラム講習会」この三つの企画で4月、5月、6月が経過した。その間、姉妹サイトとして、「赤ちゃんクラブ」と「緑の委員会」を創設して、一段落になった。

次に、つくり隊メンバーの中から声が上がったのは、「美術館」の話題だった。ハイムには、絵を描く人がたくさんいる。あの人もこの人も絵を描いている。油絵であったり水彩画であったり、あるいは墨絵などもあるらしい。また、野々村氏の講演会であれだけの人が集まったということは写真を趣味にしている人も多いに違いない。それらの作品を提供してもらって、ネットで展覧会を開催するのはどうだろう。このアイデアは一も二もなく採用された。

話し合った結果、絵画、写真、手芸、工芸、さらに書、篆刻など知っている限りのジャンルの作品を集めようということになった。まずは、今回の企画の趣旨説明を書いたチラシを作り、知り得る限りの人に当たってみる。ただ、通常の展覧会と違うのは、作品の現物を展示するのではなく、作品を撮影してその写真をサイトに掲載するということなので、撮影の仕方がポイントになる。つまり、うまく撮影しないと折角の作品の価値を下げてしまうからだ。

この問題の解決のために、撮影隊を作ることが決まった。写真に不慣れな作者に代わって慣れたメンバーが作品を撮影して廻った。この撮影隊として大活躍してくれたのが、鏡孝一郎、池田鈴子、雛形雅子、武田京子の4名だった。7月から8月の暑い時期だったが、4人は作者の家を訪問したり、会議室に足繁く通ってこの大役を担ってくれた。お陰で、30名を超える出展者が集まった。これだけのボリュームになってくると「ハイムのひろば」の特集のひとつと言う訳にはいかない。西野は新しいサイト「ハイム美術館」の設置にとりかかった。

まず、新しいフォルダを作り「museum」と名付け、そこにWordPressをインストールする。サーバー内に「簡単インストール」という機能が準備されており、この作業はごく簡単にできる。次に、いつも使用しているテーマ「BizVetor」をインストールする。「テーマ」とは、いわばブログの「テンプレート」のようなもの。(※ただし、WordPressで「テンプレート」というと他のモノを意味するので注意) WordPressには有料・無料のテーマがたくさんあり、自由に選ぶことができて、これがWordPressの魅力の1つにもなっている。

「テーマ」をダウンロードして「有効化」すると、サイトが一瞬でそのテーマのデザインになる。複数のテーマをインストールしておいて、その中から一つのテーマを選び有効化ボタンをクリックすることで一瞬でいろいろなデザインを確認できる。数あるテーマの中で、西野が「BizVektor」を選んだのは、初心者に分かりやすい機能がたくさん組み込まれているからだ。サイト作りに慣れていない者でも比較的簡単にデザインできることで人気が高く多くの企業でも採用されている。

テーマが決まれば、基本設定に進むことになるが、ここで、必ず西野が追加でやっていることがひとつある。それは「子テーマ」を作っておくことだ。「子テーマ」とはオリジナルの「テーマ」の子供の意味だが、言い換えればクローンのようなものだ。つまり、「子テーマ」を使用してサイト作成を進める中で、そのサイトに何か修正不能な重大な問題が起きた場合、それを破棄して、新しいテーマに切り替えることができる。オリジナルは直に使わず保存して何度でも子供を作れるようにしておくのだ。

次に、基本的な設定をする。表示設定、投稿設定、パーマリンク設定と進み、その後、デザインを決めていく。コンテンツエリアとサイドバーとのサイズバランス、ベースカラー、3PRの採用不採用、メニューの数と表示位置の設定など。さらに、サイドバーの表示をどうするか、検索窓、最近の投稿、最近のコメント、アーカイブ、カテゴリー等。ここでは詳細は省略するが、過去のリニューアル隊、今のつくり隊ではこのようなことを学んできている。(興味のある方はつくり隊に来られたし!)

さて、美術館は従来のトップページとは少し違うことにお気づきだろうか。そう、「3PR」が「6PR」になっている。これは、展示作品のジャンルが3つでは収まりきらないためだ。何とか6つに収めて6PRの形にした。西野にとっても6PRは初めての経験で新しい技術を必要とした。新しい課題ができたおかげでまた新しい手法を覚えた。文化教室などのお決まりの講座とは違い、実戦形式で新技術を習得できるのは西野にとってありがたいと思っている。

こうして、新しく出来上がった「ハイム美術館」に次々と作品の展示をしていった。この作業は、撮影隊メンバーが中心となり力を合わせて一つひとつ掲載していった。一応の形はできて9月に正式オープンとなった。この時、もちろん「ハイムのひろば」でも告知し、リアル掲示板にもポスターを貼ったこともあって、全体の閲覧数は大きく伸びた。企画は成功したと言ってよいだろう。しかし、反省点もいくつかあった。

ひとつは、質感の問題だ。現物の展覧会と違って、ネットで作品の写真を見せるということで、オリジナルの作品の質感を伝えることはやはり難しい。パソコンの画面で作品を見ることになるので立体感が出にくいのと元のサイズが大きいのか小さいのかサイズがわからない。例えば、絵画の作者が号数を決めて絵を描く時、それなりのサイズを計算して描くと思うが、その意図が伝わりにくい。初めから分かっていたこととはいえ、やはり限界を感じてしまう。

そのあたりの事情は、作者の方々にも了解してもらってのことだったが、もう少し技術的に何とかならないものかと思った。もし、将来また実施するならば、スタッフでそのあたりをよく話し合う必要があるだろう。

とにもかくにも、何とかそれらしきものが出来たので、その後、新しい出展者がある場合もこの「美術館」に収めることが可能になったのである。

~つづく~

蓬城 新

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