シンゴのきになる話㉝ ギリシャ神話アポロンの巻(その3)
日本の神話で、田道間守(たじまもり)が垂仁天皇(第11代)の命により不老不死の果物を求めて常世の国に行き、天皇亡き後、橘を持ち帰って日本で橘を広めたという話に似ていますね。
えっ、似ていないって。さて、月桂樹はアポロンの聖なる木でございます。
アポロンが祭神であるピュー、ピュー、おいおい、弟子よ、私の話を聞きながら眠っちゃいけないよ。
ほれほれ、ボードがよく見えないじゃないか。そうそう、私の話を聞きながらしっかり持っていてね。
え~、月桂樹はアポロンが祭神のピューティア大祭の勝者にのみに贈られたのでございます。
はい、ということで、今日の演目は『アポロンと月桂樹』でございます。
毎度おなじみですが、ギリシャ神話の最高神のゼウスは本妻でない方々に産ませた子供が本妻との間のできた子供たちよりも有名になっているのでございます。
アポロンも同じであります。ゼウスがいとこのレトに産ませたのがアポロンと双子の姉のアルテミスでございます。この二人はゼウスの妻の嫉妬による妨害にあいながら苦労の末に産まれております。
さて、アポロンはギリシャ神話の中では一番の貴公子、スーパースターでございます。
予言の神、黄金の竪琴を奏でる芸術の守護神、弓の名人、医学の神、太陽の神なのであります。
アポロンはバルカン半島の南のパル、パル、パレ、パヨ、おいおい、弟子がまた眠ってしまいましたね。すみません、隣の方ちょっと小突いてやってくださいな。はい、ありがとうございます。
アポロンはバルカン半島の南のパルナッソス山の中腹にあるデルポイに神殿を立てて巫女と通じて神託を下しておりました。まるで日本で道鏡が天皇になるかどうかの神託を和気清麻呂が確認に行った大分県の宇佐神宮みたいなところですね。
え~、話はアポロンと月桂樹にまつわるお話しでございますのでお間違いなく。
アポロンは先ほど申しましたように弓の名人でございました。
双子の姉のアルテミスも弓の使い手でした。ギリシャ神話にはさらに弓を持つ神がおられます。
そうです。あの愛の使いのエロス、現在ではキューピッドと呼ばれている神様の小僧でございます。
エロスは神話の初めに混沌の中から大地のガイア、奈落のタルタロスとともに生まれたともいわれますし、また、時代が変わりますとアフロディテ、つまりあの美しいビーナスの子供として生まれたともいわれております。ですので、いつもビーナスの周りを飛んでいるのでございます。
そのエロスは黄金の矢と鉛の矢を持ち、黄金の矢で射られると恋心が湧いてきて、鉛の矢で射られると恋心が無くなるというか相手を嫌いになってしまうのでございます。
アポロン これこれ、小僧、そんなおもちゃの矢で遊ぶでない
エロス なに言ってるんだい、おじさん
アポロン おじさんだと、私はアポロンであるぞ
エロス おじさんのその矢は何のためにあるの
アポロン 獰猛や怪物や大勢の敵を倒すためじゃないか
エロス ヘェー、僕はそんな物騒なものには使わないよ
アポロン その小さな弓矢では何にもできないだろうに、アホとちゃうか
アポロンが大阪弁でアホとちゃうかと言ったかどうかは定かでございません。
馬鹿にされたエロスは少し黙想したあとに、黄金の矢を取り出すとアポロンの胸にめがけて放ち、鉛の矢を取り出すと河の神の娘のダプネの胸にめがけて放ったのでございます。
ギリシャ神話アポロンの巻(その4)につづく