シンゴのきになる話㊽ 酔芙蓉の巻(その5)

ハイビスカスというのはフヨウ属一般の名称であることがわかりました。そしてHibiscus Mutabilisというのは日本では芙蓉のことでした。Mutalbilisは変化し易いという英語のMutableの意味です。

というのは、芙蓉は朝咲いて、夕方には散ってしまう一日花だからです。

また、芙蓉はハス(蓮)(ハス科ハス属)の美称であり、区別するときはハスを水芙蓉と呼び、フヨウ属の芙蓉は木芙蓉と呼ぶそうです。

芙蓉の花は昔から人々に愛されて来ました。

その白く、あるいはピンクがかかった花は美しく、また一日で散ってしまうはかない命から美女にたとえられ「芙蓉の顔(かんばせ)」などといわれました。詩歌にも詠われています。

枝ぶりの 日ごとにかはる 芙蓉かな 芭蕉
松が根に なまめくたてる 芙蓉かな 子規
反橋(そりばし)の 小さく見ゆる 芙蓉かな 漱石
ゆめにみし ひとのおとろへ 芙蓉咲く 久保田万太郎
白き芙蓉 あかき芙蓉と かさなりて 児のゆく空に 秋の雨ふる 与謝野鉄幹

芙蓉は富士山の別名でもあります。

それで戦後に安田財閥が解体して再編された芙蓉グループというのがありましたが、それは中核会社が富士銀行だったからです。その芙蓉(富士銀行)グループは現在のみずほグループに統合されました。また、新田次郎の小説には「芙蓉の人~富士山頂の妻」というのがあります。

太平洋戦争中には芙蓉という日本海軍の駆逐艦があったり、芙蓉部隊という同じく海軍の飛行隊がありました。この飛行隊は沖縄方面の敵飛行機、艦船に対する爆撃、機動部隊に対する索敵を主体として、特攻が主体となっていた当時において、夜襲戦法を用いて活躍したそうです。

また、中国語では芙蓉樹はネムノキ、芙蓉鳥はカナリアの別称、芙蓉蛋は卵白の茶碗蒸し風。芙蓉煎蛋、香煎芙蓉蛋は平らな卵焼きのことです。

酔芙蓉の巻(その6)

    シンゴのきになる話㊽ 酔芙蓉の巻(その5)” に対して1件のコメントがあります。

    1. 緑の八咫烏 より:

      ブンガ・ラヤという言葉は知っていましたが、芙蓉という言葉について、今までこれほど深く考えたことはありませんでした。勉強になります。

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